マカオのマンションにGOIP装置設置して詐欺電話大量発信…逮捕の男も”詐欺被害者”

 マカオ司法警察局は10月11日、タイパ島にあるマンションの一室にGOIPと呼ばれる遠隔集中ダイヤル装置を設置して大量の詐欺電話を発信したことで、少なくとも16人が金銭的被害に遭ったとし、マカオ人の自称倉庫管理員の男(26)を詐欺などの疑いで逮捕、検察院送致したと発表。

 同局によれば、10月4日に地元の携帯電話会社から頻繁に発信を行うプリペイドSIMカードが大量に確認され、電信詐欺に使われている可能性があると通報が寄せられたとのこと。同局が別の電信詐欺事件での捜査を通じて存在を突き止めた3組のGOIP装置と関連していることがわかり、6日に被疑者を逮捕するとともに、現場に立入検査を実施し、当該装置や監視カメラなどを発見するに至ったとのこと。当該装置は10月2日に運用を開始し、わずか2日間で6千回の詐欺電話を発信していたという。

 被疑者は警察の調べに対して犯行を認めた上、自身も今年7月に”上海公安”を名乗る人物から中国本土での犯罪を指摘され、その”審査”のため銀行口座の提供を要求されたが、残高が少なかったことから先方に”功を立てる”ことで解決できると持ちかけられ、指示に従ってマンションの部屋の契約、装置の設置などを進めたとし、逮捕されて初めて騙されていたことに気付いたなどと供述したとのこと。

 本件については、被疑者が設置した設備を背後にいる犯罪グループが遠隔利用して詐欺を行っていたものとみられる。警察では、詐欺被害防止メカニズムにより一部の送金を食い止めることに成功しており、目下、具体的な被害額及び犯罪グループに渡ったカネの行方を追っているとした。

 近年マカオでは中国本土の政法機関などを騙った電信詐欺被害事案が多く報告されており、本件同様に被害者から詐欺に加担する側に転じるケースも散見され、警察が類似の注意喚起を行っている。

詐欺などの疑いで逮捕された男(右)と詐欺電話の発信に使われたGOIP装置(写真:マカオ司法警察局)

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