マカオ金融管理局がデジタル法定通貨「e-MOP」のホワイトペーパー公開

 マカオは中国の特別行政区にあたるが、マカオパタカ(MOP/澳門元)という独自の法定通貨を有する。

 マカオ金融管理局(AMCM)は12月12日、同局が研究を進めてきたデジタル法定通貨「e-MOP(數字澳門元)」のプロトタイプシステム構築成功及びホワイトペーパー公開セレモニーを開催。ホワイトペーパーはe-MOPプロジェクトの内容と開発プロセスを紹介する初めての資料となり、主に中央銀行によるデジタル通貨の性格、e-MOPの目的と潜在的なメリット、位置付け、設計原則、利害関係者にとっての意義、開発の青写真などを網羅している。

 AMCM行政管理委員会の陳守信委員長はスピーチの中で、e-MOPはマカオ特別行政区の最も安全な資産であり(マカオパタカの現金と同じく100%準備金による裏付け)、AMCMがその発行、取消、流通に対する監督・管理責任を負うとともに、運営機関として十分な資本と技術力を持つ商業銀行を選択するための厳格な基準を採用していることを強調。また、e-MOPは既存の決済手段を補完するもので、リアルタイム決済を可能にし、より効率的で費用対効果の高い取引環境を構築できるとし、短期的にリテールレベルに重点を置いた開発を行い、中長期的にホールセールレベルに展開する予定とした。

マカオ金融管理局行政管理委員会の陳守信委員長によるスピーチの様子=2024年12月12日(写真:AMCM)

 AMCMでは、これからインフラ及び機関システム開発、内部クローズドテスト運用、全面公開テストの3段階の作業を進めた上、インフラ整備が整い、全面テストを通過し、リスクコントロールが可能となった状況で正式ローンチを行うとのこと。

 将来的には、デジタル経済の発展に適応できる金融システムの構築を視野に入れ、e-MOPシステムと他の決済システム及び金融インフラとの連携を推進し、まず(広東省珠海市)横琴広東マカオ深化協力区でのクロスボーダー用途を優先しながら、e-CNY(デジタル人民元)やe-HKD(デジタル香港ドル)との連携についても段階的に推進するという。

セレモニー会場に設けられたe-MOP体験コーナーの様子=2024年12月12日(写真:AMCM)

 12日のセレモニー会場にはe-MOP体験コーナーが設けられ、e-MOPの発行、両替、決済、流通、清算までの主なプロセスが実演展示された。ハードウォレット(カードタイプ)とソフトウォレット(スマートフォンアプリ)が用意され、ソフトウォレットについては一般利用されている二次元バーコード決済(コード読み取り/コード表示)、送金、銀行口座からのチャージ、銀行口座へのチャージバック、ハードウォレットとの相互運用に加え、スマートコントラクトといった革新的な機能の搭載も予定していることが示された。

 AMCMはe-MOPに関する情報をまとめた特設サイト(https://www.amcm.gov.mo/zh-hant/news-notice/emop/emop-introduction)を開設しており、ホワイトペーパーなどを見ることができる。(※サイトの言語は中国語、ポルトガル語)

e-MOPのホワイトペーパー=2024年12月12日(写真:AMCM)

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ政府統計・センサス局は11月21日、昨年(2024年)マカオの文化産業調査結果を公表。 …
  2.  マカオ政府統計・センサス局は11月21日、今年第3四半期(2025年7〜9月)の民間建築及び不動…
  3.  マカオ政府統計・センサス局が11月21日に公表した資料によれば、今年(2025年)10月の総合消…
  4.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進む中、歩行者の禁止場所や赤信号での道路横断行為が…
  5.  マカオ政府とカジノ経営コンセッションを結ぶ6陣営の一角、SJMリゾーツ社系の衛星カジノ施設のひと…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月29日、国際旅客誘致策の一環として昨年(2024年)実施した香…
  2.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  3.  今年(2025年)に入って以降、マカオ政府が新交通システム「マカオLRT」の新路線計画を相次いで…
  4.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…
  5.  マカオ政府は6月9日午後5時からマカオ政府本部ビルで特別会見を行い、SJMリゾーツ社、メルコリゾ…

注目記事

  1.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  2.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  3.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…

イベントカレンダー

11月 2025
      1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
« 10月   12月 »
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年12月号
(vol.150)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun