マカオで今年2例目の輸入性マラリア感染確認…患者はアフリカで働く中国本土からのインバウンド旅客

 マカオ政府衛生局(SSM)は2月4日夜、マカオで今年(2025年)2例目となる輸入性のマラリア感染確認例があったと発表。

 患者はアフリカのナイジェリアで就労する中国本土からのインバウンド旅客の男性(40)で、就労先から中国本土へ戻った当日の前月(1月)24日に下痢と腹痛を伴う発熱の症状が出たが、自身での服薬により緩解。30日に再び微熱が出たことから中国本土の医療機関を受診。2月3日にマカオを訪れた後も症状が続いたことから、マカオの公立総合病院として知られる仁伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)の救急外来を受診したところ、マラリアとの診察を受け、入院治療を受けるに至ったという。

 同局では、患者の渡航歴、発症時期、ラボでの検査結果を総合し、輸入性マラリア感染例と判断。目下、患者の容体は安定しており、患者と同行の家族に類似の症状は出ていないとのこと。

 同局によれば、マラリアは命の危険を伴う重大な感染症であり、雌のハマダラカ(羽斑蚊)に刺されることでマラリア原虫が媒介されヒトに感染し、ヒトとヒトとの間で直接感染することはないが、汚染された血液や血液製剤、臓器移植、注射針の共用、母子感染といった感染の可能性もあるとのこと。また、マラリア原虫の種類によって潜伏期間は異なり、通常は蚊に刺されてマラリア原虫が体内に入ってから7〜30日後に発症し、症状としては断続的な発熱や悪寒、発汗、頭痛、倦怠感、筋肉痛等、合併症として貧血、肝不全、痙攣、錯乱、昏睡等があり、早期に治療を行われなければ死に至ることもあるとした上、現在は薬による有効な治療が可能であり、早期診断と治療が最も重要であるとした。

 なお、マカオにはハマダラカの発生源となる池、沼、渓流などが少ないことから、ハマダラカは一般的な存在ではなく、マカオにおける感染及び伝播リスクは低いとの見方を示し、一方でマラリアはアフリカ、東南アジア、南米など熱帯、亜熱帯の温暖な場所で多く出現しており、市民に対してマラリア流行地区へ渡航する際には防虫対策をしっかり講じ、(ワクチンがないため)必要に応じて予防薬を使用するよう呼びかけた。

 マカオでマラリア感染例が確認されたのは前月9日以来、約1ヶ月ぶり。この際の患者は就労のためアフリカからマカオ入りした男性(40代)だった。

マカオの公立総合病院として知られる仁伯爵綜合醫院(資料)=2025年2月本紙撮影

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