マカオ行政長官、カジノ産業の調整局面入り認める=多角化で打開目指す

崔世安(フェルナンド・チュイ)マカオ行政長官は12月7日、マカオ特別行政区成立15周年成就展の開幕式に出席するため北京へ出発するのを前に記者会見を行った。この際、マカオのカジノ産業が調整局面に入ったことを認めた。

マカオは1999年12月20日にポルトガルから中国へ返還されたが、当時、経済的に厳しい状況が続いていたことから、その起爆剤として2002年にカジノライセンスの対外開放を実施。2002年には300億パタカ(日本円換算:約4500億円)に満たなかった通年カジノ売上は、2012年には3000億パタカ(約4兆5000億円)を突破するなど、飛躍的な成長を遂げた。しかし、栄光の10年を経て、カジノ売上の成長神話にも翳りが見え、2014年6月以降11月まで、6か月連続で前年割れが続いている。

先日、中国全国人民代表大会常務委員会の李飛副秘書長がマカオを訪れた際、カジノ産業への過度な依存はマカオの利益にならないとする発言を行った。その理由として、カジノ産業が中国本土と密接な関係にあることを挙げ、その政策による影響を受けやすいものであることを示唆したといえる。

崔行政長官は、2003年以降のマカオの急速な経済発展、住民への福利厚生の改善について、カジノ及び周辺産業の貢献が大きかったことを認めている。一方、国際的環境、中国本土の政策などを鑑み、カジノ産業が調整局面に入ることを予見し、マカオ政府は2015年度予算案で、月次カジノ売上を今年(2014年)の300億パタカから、275億パタカ(約4200億円)へ引き下げたとした。今後もカジノ売上の下落幅を注視しながら、財政面で適切に対応していくとのこと。

また、政府はマカオ経済が調整局面入りする事態も想定し、すでに財政準備金制度を設け、外貨準備、基本準備、超過準備が十分に確保されている状態であり、経済状況の如何に関わらず、住民に対する福利厚生の財源は長期的に保障されているとしている。

今後については、カジノ依存からの脱却のため、マカオ経済の多角化が急務であるとし、政府として全力で取り組む姿勢を示した。

マカオのカジノ売上は、今年1-11月の累計で前年比0.2%と辛うじて前年を上回っているが、12月の結果次第では前年割れとなる可能性もある。しかしながら、マカオの年間カジノ売上はラスベガスのおよそ7倍規模にまで膨張しており、世界一のカジノ都市の座は揺るぎないものとなっている。今後、マカオでは2015年中盤から新規のカジノ付き大型IR(統合型リゾート)施設のオープンラッシュを控えており、カジノ売上が再び上昇に転じるとの予測もある。

カジノ運営企業では、これまでマカオのカジノ売上を支えてきた中国本土の富裕層を主要顧客層とするVIPルームが不調な反面、マスゲーミング(平場)部門が伸びていることから、マス市場重視のマーケティング戦略に転換する動きも目立つ。

これまで「賭博」一辺倒だったマカオだが、今回の調整局面入りを契機に、ノンゲーミング分野の拡充によるバランスの取れた本当の意味でリゾート都市への変貌を遂げるチャンスともいえる。2014年は、マカオにとって大きな転換点になるだろう。

崔世安マカオ行政長官がマカオのカジノ産業の調整局面に入ったことを認めた=12月7日、マカオ(写真:GCS)

崔世安マカオ行政長官がマカオのカジノ産業の調整局面に入ったことを認めた=12月7日、マカオ(写真:GCS)

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