マカオ、2022年10月のカジノ売上は対前年10.7%減の約715億円…3ヶ月連続回復、1〜10月累計50.5%減

 マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は11月1日、今年(2022年)10月のマカオの月次カジノ売上(粗収益、Gross Gaming Revenue=GGR)について、前年同月から10.7%減、前月から31.6%増の38.99億パタカ(日本円換算:約715億円)だったとする最新統計を公表。

 前年同月比では8ヶ月連続のマイナス、対前月では3ヶ月連続プラス。コロナ前の2019年同月からは85.3%減。

 すでに中国本土とマカオの間では条件付きで隔離検疫免除での相互往来が再開されているが、今年に入って以降、中国各地で再流行が深刻化したことを受けて水際措置の強化や移動制限が講じられるなどした結果、マカオにおける中国本土からのインバウンド旅客数が低迷し、カジノ売上に影響が及んでいるとされる。

 マカオ域内では今年6月中旬まで約8ヶ月にわたってゼロコロナ状況を維持していたが、6月18日から市中でオミクロンBA.5のアウトブレイクが発生したことを受け、中国本土との間の水際措置が大幅に引き上げられると同時に、域内でも極めて厳格な防疫措置が講じられた。中でも、7月11日から12日間は特別防疫措置として「社会相対静止」が実施され、カジノ施設を含む経済活動の大半がストップ。これと前後して、一部カジノ施設が局地ロックダウンの対象となる例もあった。8月初旬までにアウトブレイクは落ち着き、防疫措置についてもほぼ6月18日以前の水準に復帰したが、本格的に旅客が戻る状況には至っていない。

 10月は月初に中国本土の大型連休(国慶節)があるため、例年は書き入れ時となるが、前年同月はマカオ市中におけるコロナ陽性者の出現による水際措置の引き締めで不発に終わり、今年は対前年では回復したものの、依然としてコロナ前水準からの隔たりは大きい。

 10月の営業日は31日間で、9月より1日多い。今年10月の1営業日あたりの平均売上は前月から約26%増の1.26億パタカ(約23.1億円)。新型コロナの影響が生じて以降では、今年7月の0.13億パタカ(約2.4億円)及び2020年第2四半期の0.23億〜0.56億パタカ(約4.2億〜10.3億円)が底。

 今年1〜10月累計のカジノ売上は前年同時期から50.5%減の357.18億パタカ(約6552億円)。変動率は前月時点から2.6ポイント縮小(良化)。

 マカオ政府の2022年度財政予算における当初カジノ売上見込みは1300億パタカ(約2兆3846億円)で、10月終了時点の進捗率は27.5%。なお、前年も同額の見込みだったが、大幅未達(66.8%)だった。

ゲスト及び従業員のマスク着用やカジノ用品の消毒強化といった防疫対策を講じた上で営業を続けているマカオのカジノ施設(資料)=2020年3月(写真:GCS)

【資料1】2022年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:63.44億パタカ=約1164億円(20.9%減)
・2月:77.59億パタカ=約1423億円(6.1%増)
・3月:36.72億パタカ=約674億円(55.8%減)
・4月:26.77億パタカ=約491億円(68.1%減)
・5月:33.41億パタカ=約613億円(68.0%減)
・6月:24.77億パタカ=約454億円(62.1%減)
・7月:3.98億パタカ=約73億円(95.3%減)
・8月:21.89億パタカ=約402億円(50.7%減)
・9月:29.62億パタカ=約543億円(49.6%減)
・10月:38.99億パタカ=約715億円(10.7%減)
>1〜10月累計:357.18億パタカ=約6552億円(50.5%減)

【資料2】2013年〜2021年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億パタカ=約6兆6184億円(18.6%増)*ピーク時
・2014年:3515.21億パタカ=約6兆4491億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億パタカ=約4兆2350億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億パタカ=約4兆0950億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億パタカ=約4兆8754億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億パタカ=約5兆5561億円(14.0%増)
・2019年:2924.55億パタカ=約5兆3654億円(3.4%減)
・2020年:604.41億パタカ=約1兆1089億円(79.3%減)
・2021年:868.63億パタカ=約1兆5936億円(43.7%増)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ政府衛生局は4月19日夜、「人食いバクテリア」と呼ばれる細菌のひとつ、ビブリオ・バルニフィ…
  2.  マカオ政府統計調査局は4月19日、今年(2024年)2月の飲食業と小売業に関する景気調査結果を公…
  3.  4月19日付のマカオ特別政府区公報に「不動産需要管理に関する税制措置の撤廃」法が掲載され、翌日(…
  4.  マカオ・コタイ地区にあるギャラクシーアリーナで「ITTF(国際卓球連盟)男女ワールドカップマカオ…
  5.  マカオではアフターコロナで社会・経済の正常化が進んだ昨年(2023年)から歩行者による禁止場所で…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  3.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  4.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…

注目記事

  1.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  4.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  5.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年4月号
(vol.130)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun