マカオで中国・台山原発説明会開催=マカオから直線距離で67キロ

中国広東省の沿岸部にある台山市で中国とフランスの合弁による台山原子力発電所(漢字表記:台山核電站)の建設が進められている。

台山原発はフランス・アレバ社の第3世代プラス設計にあたる「欧州加圧水型炉(EPR=European Pressurized Reactor)」を採用した原子炉2機で構成され、1機あたりの発電量は175万キロワットと単体で世界最大クラスとなる。

実は、台山原発とマカオは直線距離で67キロしか離れていない。日本で例えるなら福島第一原発から郡山市の距離とほぼ同じだ。マカオ市民の間でも原発の安全性や万が一の際にマカオへ与える影響に対する関心が高まっている。

マカオ政府は6月17日、中国エネルギー当局や台山原発の関係者らをマカオに招聘し、国家原発発展政策及び台山原発に関する説明会を開催。専門家から技術の先進性、安全性を中心にした説明が行われた。また、台山原発の稼働時期については、1号機が2017年上半期、2号機が同年下半期を予定しているとのこと。

マカオ政府保安庁の黄少澤長官は同日開催されたマカオメディア向けのセミナーに登壇した際、マカオは原発から20キロ圏外にあるため、一般状況下において避難を含む全面防護措置を採用する必要はないとの見方を示し、マカオと中国本土側で即時通知メカニズムの確立、マカオ政府部門、メディア、各界による現場視察も含め、安全性に対する懸念を払拭していくとコメントした。

なお、マカオ政府は2011年に発生した福島第一原発事故を受け、福島県産の野菜、果物、乳製品、食肉・食肉加工品、卵、水産物、水産加工品及び宮城、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、新潟、長野の9都県産の野菜、果物、乳製品について輸入停止措置を継続しているほか、9都県産の食肉・食肉加工品、卵、水産物、水産加工品及び山形、山梨の2県産の野菜、果物、乳製品、食肉・食肉加工品、卵、水産物、水産加工品についての輸入についても放射性物質検査証明を要求している。

ちなみに、マカオは消費電力のおよそ8割を中国本土からの輸入に依存している。

台山原発説明会の様子=6月17日、マカオドーム(写真:GPVG=マカオ政府報道官事務所)

台山原発説明会の様子=6月17日、マカオドーム(写真:GPVG=マカオ政府報道官事務所)

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