マカオ、SNS投稿きっかけで悪質タクシー運転手検挙…直近1年半で違反115件の常習者

近年、マカオでは一部の悪質なタクシードライバーによるぼったくりや乗車拒否が大きな社会問題となっている。消費者利益及び観光都市としてのイメージを著しく毀損する行為として警察と交通当局がパトロールを強化して臨んでいるものの、依然暗躍が続いている状況だ。

マカオ治安警察局は6月25日、マカオのぼったくりタクシーの被害にあったとする地元女性客のSNS投稿の内容が拡散されている状況を受け、調査を行なったことを明らかにした。

同月23日午前、20代の女性客が友人とともにマカオ半島北部の關閘イミグレーション施設から外港マカオに向けてタクシーを利用した際、運転手が激しい雨が降っていることを理由にメーターの使用をしないと一方的に宣言した上、乗客の抗議も聞き入れず、目的地に到着し後、メーターを使用した場合と比較して極端に高額となる200パタカ(日本円換算:約2800円)のぼったくり運賃を要求。乗客は仕方なく言い値を支払ったが、納得がいかず、一部始終を文章と写真でSNSに投稿したところ、数多くシェアされ、警察担当者の知るところとなったとのこと。また、SNS投稿された写真に運転手の顔写真入りの営業許可証が掲出されていなかったことも物議を醸した。

警察がタクシー運転手と投稿者にそれぞれ連絡を取り、聞き取り調査を行なった際、運転手がぼったくり及び営業許可証未掲出の違反行為を認めたため、今後、交通事務局に案件を引き継ぎ、処分を行う方向。

警察によれば、この運転手は前年以降だけで115回の違反歴があり、過去に例のないほどの違反常習者だったことも合わせて発表した。

ちなみに、昨年通期のタクシー違反検挙総数は前年から32.3%増となる5491件、このうちぼったくりが85.6%の大幅増となる3180件、乗車拒否が11.4%増の1574件で、検挙数全体の87.6%を占めた。実際には泣き寝入りなどもあるとみられ、統計に表れない悪質タクシーによる被害が相当数あると予想される。

マカオは面積約30平方キロメートルの小さな街だが、人口約65万人、年間訪マカオ外客数は約3250万人であるのに対し、タクシー総数は約1600台にとどまっており、需要に追いついていないとの見方もある。

現行法ではぼったくりや乗車拒否といった違反についてのドライバーへのペナルティが1000パタカ(約1万4000円)の罰金のみという極めて甘い内容であることも指摘されており、マカオ政府が法改正の準備を進めてきた。マカオ政府は4月10日、5年以内に4回のぼったくりや乗車拒否といった重大違法行為で検挙されたドライバーのライセンスを取り消しとし、向こう3年間は再試験を受けさせないこと、違反に対する罰金を最大3万パタカ(約42万0000円)に引き上げること、管轄を交通事務局から治安警察局に移すこと、改正法実施から1年以内に全車両にGPSおよび録音設備を導入することなどを盛り込んだ改正案をまとめたと発表したばかり。

警察では、タクシー利用時に違反行為に遭遇した場合、速やかに通報するよう呼びかけている。

違反常習の運転手が乗務していたタクシー(写真:マカオ治安警察局)

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