香港、新型コロナ新規感染確認164人…流行開始以来の単日最多記録、うち市中は116人=1/27

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まったとされる。

 目下、第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。

 また、近日は新界南西部の葵涌地区にあるマンモス団地「葵涌邨」(全16棟、約3万人居住)の住民及び訪問者等の間で陽性者の出現が相次ぎ、クラスターの規模拡大が続く状況。

 香港衛生当局の発表によれば、1月27日午前0時時点集計の単日の新規感染確認は164人で、2020年に新型コロナの流行が始まって以来の最多を記録。内訳は市中が116人(感染経路不明12人)、輸入性(海外からの入境者)が48人。このほか、初歩陽性者が100人超いるとのこと。

 「葵涌邨」に絡む感染確認及び初歩陽性者の出現ペースは顕著な減少という。現在、葵涌邨内で最初に陽性者が出現した逸葵樓に加えて、映葵樓、夏葵樓の3棟に対する5日間の局地ロックダウン措置が講じられているが、28日朝から予定通りロックダウンを解除する見通しも示された。このほか、九龍・黄大仙区にある団地「彩雲(一)邨」の長波樓でも20人超の陽性者が出現しており、垂直または並行感染の可能性が浮上したことから、62戸の住民が検疫センターに移送され、その他の住民についても在宅検疫とされた。

 香港衛生当局は、逸葵樓関連の感染確認数は下落したが、近日の感染経路不明事案は30人を超え、市中に数十もの見えない伝播チェーンが存在するとみられるとし、今後も爆発的感染が発生するリスクは非常に高いとの見方を示した。

 目下、香港では市中で出現した陽性者及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)や強制ウイルス検査の対象となっており、域内におけるソーシャルディスタンス措置、水際措置の引き締めも講じられている。香港政府は27日に会見を開き、ソーシャルディスタンス措置を2月17日まで、学校における対面授業中止措置を2月21日までそれぞれ延長することを発表した。

 このほか、香港の1月26日午後8時時点のワクチン接種率は78.6%(1回目の接種完了)、70.8%(2回目の接種完了)となっている(※1月21日から新たに接種対象となった5〜11歳は含まず)。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、市中感染確認例が相次ぎ出現したなどを受けて、年初から上昇傾向が続いている。

ランタオ島・東涌地区にある特定のマンション1棟の住民を対象とした強制検査の様子=2022年1月26日(写真:news.gov.hk)

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