香港、新型コロナ新規感染確認1161人…流行後最多を3日連続更新、第5波開始以来初の死者も=2/9

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。近日、市中における新規感染確認数が急増し、その多くが感染経路不明となっている。

 香港衛生当局の発表によれば、2月9日午前0時時点集計の単日の新規感染確認は1161人で、、内訳は市中が1153人、輸入性(海外からの入境者)が8人。単日の新規感染確認数は3日連続で流行開始以来の最多を更新。4桁台となったのは初めて。感染確認例の大半がオミクロン変異株感染疑いとのこと。第5波が始まって以来初めての新型コロナによる死者も2人確認された。このほか、明日以降に感染確認される可能性の高い初歩陽性者が約800人いるとのこと。

 新規感染確認例の中には、ファミリークラスターによるものが多く含まれ、いずれも春節(旧正月)前後に会合へ参加していたことがわかっている。また、ショッピングセンターや公設市場にしか出かけていないという主婦、高齢者、リタイヤ生活を送る人が感染するケースも増えているとし、当局は市民に対して外出及び会合機会を減らすようあらためて呼びかけた。これまでに高齢者介護施設における小規模クラスターも10件以上発生した模様。また、感染例の急増に伴い、複数エリアにある公立病院の救急外来に大きな負荷がかかっている状況で、軽症者についてはホームドクターや私立の医療機関の利用も考慮してほしいとしている。第5波始まって以来初となる死者2人はいずれも慢性疾患のある70代で、容体が急変したという。オミクロン株かデルタ株のどちらに感染していたかについては、9日夕方の記者会見時点では未判定。

 香港では市中で出現した感染確認及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人、下水から陽性反応が検出されたエリア等が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)や強制ウイルス検査の対象となっており、域内におけるソーシャルディスタンス措置、域外からの流入防止を目的とした水際措置の引き締めなどの策も講じられている。

 香港の2月8日午後8時時点のワクチン接種率は80.8%(1回目の接種完了)、72.8%(2回目の接種完了)となっている(※1月21日から新たに接種対象となった5〜11歳は含まず)。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、市中感染確認例が相次ぎ出現したなどを受けて、年初から上昇傾向が続く。8日の接種回数は7万7763回で、単日最多記録を2日連続更新した。政府は免疫の壁を構築するための目標として、接種率9割の達成を掲げており、ワクチンバブルのスタートも控えている。

九龍・深水ポ地区にある集合住宅「富昌邨富悦樓」で実施された強制ウイルス検査の結果確認作業の様子。検査を通じて29人の初歩陽性者が見つかった=2022年2月9日(写真:news.gov.hk)

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