マカオ、平均月次カジノ売上2530億円以下で財政赤字に転落=市場低迷長期化、経済財政庁長官が歳出減に言及

マカオでは昨年(2014年)6月から今年3月まで10ヶ月連続でカジノ売上の前年割れとなっている。マカオ政府は歳入のおよそ8割(昨年実績)をカジノ税収に依存しており、カジノ売上の低迷長期化が政府財政に与えるインパクトは大きい。

カジノ売上の低迷長期化を受け、マカオ政府は今年度予算(マカオの予算期は1〜12月)の見直しを行っている。4月1日に可決された修正予算案は、当初予算から歳入が22.4%減の1199.69億パタカ(日本円換算:約1兆7860億円)、歳出が0.05%増の837.61億パタカ(1兆2470億円)で、財政黒字は63.7%の大幅減となる188.52億パタカ(約2810億円)となっている。

歳入のうち、カジノ税収は27.3%減の840億パタカ(約1兆2500億円)で、4年前と同水準にまで逆戻りした格好となる。なお、カジノ税収の根拠となる月次カジノ売上は200億パタカ(約2980億円)と設定している。総歳入に占めるカジノ税の割合は7割で、昨年実績の約8割、今年度当初予算案の7割5分を下回る。

マカオ政府経済財政庁の梁維特長官は4月29日に地元メディアの取材に応じた際、財政収支の攻防ラインについて、平均月次カジノ売上170〜180億パタカ(約2530〜2680億円)との見方を示した。また、170億パタカ以下では赤字に転落となることから、180億パタカとなった時点で緊縮財政措置を導入するとした。コスト削減の内容については、飲食及び対外交流分野に対する補助、政府による購買の削減などを想定しているといい、市民への現金給付、社会保障、公務員給与といった民生分野への影響はないとしている。

今年1〜3月の累計カジノ売上は647.77億パタカ(約9640億円)で、平均200億パタカを上回る。梁長官は、仮に4月の月次カジノ売上が185億パタカ(約2750億円)だったとしても、依然として月平均200億パタカを上回ることから、すぐに緊縮財政を導入する必要はないとしている。なお、昨年の年間累計カジノ売上は3515.21億パタカ(約5兆2330億円)で、月平均で約293億パタカ(約4360億円)だった。

一方、マカオ金融管理局が今年3月に発表した内容によると、マカオの昨年(2014年)12月末時点の財政準備資産総額は暫定統計で2463.4億パタカ(日本円換算:約3兆6670万円)に達した。今年度総歳出の実に3年分にも相当する十分な「貯金」を抱えていることになる。

カジノ売上低迷長期化を受け、財政収支の攻防ラインと対応について語る梁維特マカオ経済財政庁長官=4月29日、マカオ立法会(写真:GCS)

カジノ売上低迷長期化を受け、財政収支の攻防ラインと対応について語る梁維特マカオ経済財政庁長官=4月29日、マカオ立法会(写真:GCS)

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