マカオ、ホテル価格下落で旅客の滞在時間延びる

アジア有数の観光地として知られるマカオ。海外(中国本土、香港、台湾を含む)からマカオを訪れる旅客は昨年(2014年)過去最高となる3150万人(のべ、以下同)を記録した。今年に入って以降、訪マカオ旅客の大半を占める中国本土旅客が減少傾向にあり、1〜7月の累計入境旅客数は前年同期比3.5%減の1740万5393人となっている。

訪マカオ旅客数の減少に加え、昨年下半期から続くマカオのカジノVIPルームの不振に伴い、ジャンケットと呼ばれる仲介業者によるギャンブラー向けのホテル客室予約率が低下している状況もあるといい、マカオの各ホテルは年初の旧正月のピークシーズン以降、思い切った値下げプロモーションを展開するようになった。かつて高止まりしていたマカオのホテル価格だが、価格競争により風穴が空いた格好だ。

マカオ政府統計調査局が8月26日に公表した最新統計によると、今年7月の訪マカオ旅客数は前年同期比3.8%減の264.9万人で、旅客の居住地別のトップ4にあたる中国本土が6.1%減の175万7167人、香港が5.7%増の58万6136人、台湾が0.1%増の9万3443人、韓国が22.5%減の3万7050人となっている。韓国の急減はMERS(中東呼吸器症候群)によるもの。

一方、トップ4の宿泊を伴う旅客のマカオ滞在時間については、中国本土が0.2日増の2.2日、香港が0.2日増の1.7日、台湾が0.3日増の2.3日、韓国が0.9日増の2.5日で、いずれも延びている。

マカオの日刊紙「澳門日報」が8月30日付紙面で報じた記事の中で、地元旅行業者は5つ星ホテルが値下げプロモーションによる集客を始めたことを受け、4つ星、3つ星ホテルも追随し、結果的にマカオ全体のホテル価格が昨年から1〜2割程度下がったとコメントしている。また、夏休みシーズンも手頃な価格帯となったことから、一定の需要を喚起したとのこと。今年から来年にかけて複数の大型IR(統合型リゾート)が開業を予定しており、ホテル客室数の供給増となるため、ホテル価格がさらに下落する可能性もあるという。

目下、マカオを訪れる旅客の約半数が日帰り旅客となっており、官民ともに滞在時間を延ばすことを目標に掲げた取り組みを行っている。

中国本土とマカオの陸路の玄関口となる關閘イミグレーション到着ゲート(資料)=2015年8月27日—本紙撮影

中国本土とマカオの陸路の玄関口となる關閘イミグレーション到着ゲート(資料)=2015年8月27日—本紙撮影

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