マカオ版「ゆりかもめ」2019年タイパ線から先行開業へ=約4年遅れ、全通時期はメド立たず

マカオ初となる軌道系大量輸送機関として大きな期待がかかるマカオ新交通システム(マカオLRT)第1期プロジェクトだが、2012年末の着工以降、建設工事の大幅な遅延により完成及び開通時期のメドが立たない状態が続いている。

マカオLRT第1期プロジェクトはマカオ半島北部の關閘から外港フェリーターミナル、新口岸、南灣湖を経由して媽閣に至るマカオ半島線、媽閣から西灣大橋を経てタイパ島に入り、コタイ地区を通ってマカオ国際空港、タイパフェリーターミナルに至るタイパ線の2線、21駅、21キロメートルで構成される。

マカオ政府運輸工務庁のライムンド・ロザリオ長官は12月9日、マカオ立法会で来年度(2016年1〜12月)の運輸分野に関する施政方針説明を行った際、マカオLRTの進捗状況について、タイパ線の9.3kmの土木工事、11の駅舎部分の工事が2016年内にも完成見込み、開業時期は2019年を予定していることを明らかにした。当初、今年4月開業予定とされていたことから、およそ4年の遅延となる。

要となる車輌基地の建設を担当する業者が工事をストップしていたことが指摘されていたが、当局では速やかにこの業者との契約を解除し、来年第2四半期(4〜6月)にも再入札を行う考えという。

マカオLRT第1期プロジェクトは、国際入札を経て日本の三菱重工と伊藤忠商事の共同体が駅舎と土木工事を除くLRTシステム一式を46億8800万パタカ(日本円換算:約714億円)受注しており、マカオの公共工事として日本企業が獲得した最大規模の案件としても注目されている。東京の「ゆりかもめ」と同タイプ(クリスタルムーバー型)の日本製の鉄道車輌がマカオの街を走る予定。マカオ当局はすでに車輌158輌を三菱重工にオーダー済みで、同社三原製作所(広島県)で量産及び走行試験が当初計画通り進んでいるという。

しかし、車輌基地なしには完成済みの車輌を搬入することができない。マカオ当局は工事の遅延を受け、三菱重工に対して耐用年数を延ばせるよう車輌を良好な状態で保管するよう要請したという。ロザリオ長官によると、すでに三菱重工側と交渉を行ったことを明かし、工事遅延に伴いマカオ当局が三菱重工側に追加で支払う金額はおよそ7億パタカ(約107億円)になる見通しとのこと。

なお、マカオ半島線については、現在もルート調整作業などが進められており、本格着工できていない状態で、開通時期は依然として未定のままとなっている。

広島県の三菱重工三原製作所で走行試験を行うマカオLRT車輌(資料)=2014年4月(写真:GIT)

広島県の三菱重工三原製作所で走行試験を行うマカオLRT車輌(資料)=2014年4月(写真:GIT)


マカオLRTタイパ線建設現場、排角駅付近の様子(資料)=11月26日—本紙撮影

マカオLRTタイパ線建設現場、排角駅付近の様子(資料)=11月26日—本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ治安警察局は5月6日、同月2日に他人名義の中国パスポートを使ってマカオ入境を企図した20代…
  2.  独特の食文化を有するマカオは2017年に「ユネスコ食文化創造都市」に認定された。以降、マカオ政府…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)と治安警察局は5月6日、マカオにとって第一、第二の旅客ソースにあたる…
  4.  香港特別行政区政府の報道官は5月6日、中国本土で大型連休となる五・一(労働節)ゴールデンウィーク…
  5.  マカオ政府金融管理局は5月6日、今年(2024年)3月の貨幣・金融統計を公表。内容のサマリーは下…

ピックアップ記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  4.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…

注目記事

  1.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  5.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun