中古マンション取引低迷―銀行の評価査定保守化

2012年に政府が導入した新しい不動産緊縮策(いわゆる「新八招」)によって購入価格に対する住宅ローンの割合に制限を設けられたことなどを受け、中古マンション取引の低迷が続いている。

5日付地元有力紙「澳門日報」が報じた。ある不動産業関係者によると、銀行の中古マンションに対する価格査定が保守化しており、約3割の購入希望者が物件の低い価格評価査定やローン割合の不足を理由として取引が不成立になるなどの影響が広がっているという。中古マンション市場の復活は3月以降になるのではないかとの見方。

不動産ディベロップメント業組合(地產發展商會)の陸惠德会長は、最近の中古マンション市場の低迷は、銀行による購入価格に対する住宅ローンの割合の制限が原因との考えを示した。不動産価格は昨年急上昇したことから、銀行内部でリスク上昇懸念が高まっており、ローン貸出の基礎となる不動産の評価査定額を抑える動きがあるもの。

これまで、銀行の評価査定額と市場取引価格の差は一般的に10~15%程度だったが、現在では20~30%にまで拡大しているという。これにより、中古不動産の購入希望者はより多額の頭金を準備する必要に迫られる。ローン申請総数に対する取引不成立率は約3割にも達し、過去最高水準という。

銀行による中古不動産の価格評価査定が抑えられる中、新築マンション人気が一段と高まっており、結果的に住宅価格の高騰を招いているとの指摘もある。

「新八招」の影響で中古マンション取引市場が冴えない状況が続いているが、例年、春節(農暦新年)を前にしたこの時期は伝統的に不動産取引が少ない時期でもあるため、3月、4月頃には回復するのではないかとの希望的観測もみられる。

古いマンションが多く建ち並ぶマカオ半島旧市街地(イメージ)―本紙撮影

古いマンションが多く建ち並ぶマカオ半島旧市街地(イメージ)―本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR…
  2.  マカオ政府とカジノ経営コンセッションを結ぶ6陣営の一角で、香港上場のSJMホールディングスは4月…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月29日、国際旅客誘致策の一環として昨年(2024年)実施した香…
  4.  マカオにとって最大の旅客ソースとなる中国本土で5月1日から5日までが5連休(「五・一」労働節ゴー…
  5.  マカオ政府統計・センサス局は4月28日、今年第1四半期(2025年1〜3月)の対外商品貿易統計を…

ピックアップ記事

  1.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  2.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  3.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」の新線「横琴線(…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年5月号
(vol.143)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun