マカオ政府、毎年恒例の市民向け現金配布を3ヶ月前倒し実施…新型コロナ経済対策の一環で=支給額は約13.9万円

 世界一のカジノ売上を誇る都市として知られるマカオ。カジノ税という潤沢な財源を抱えるマカオ特別行政区政府は、インフレ対策や富の還元を理由に2008年から市民に対する現金配布を毎年実施している。

 目下、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、マカオにおいても基幹産業として知られるカジノの一時休業(2月5〜19日)をはじめ、イベントの中止や入境制限を含む厳格な防疫対策が講じられる中、経済活動は大きく停滞している。

 現金配布は例年7月から9月にかけて実施されるが、今年度は新型コロナ経済対策の一環として、3ヶ月前倒し実施する方針が2月上旬に示されていた。マカオ行政会は2月24日、前倒し実施にあたって必要となる行政手続を完了したと発表。13年連続実施となる今年度の支給対象は前年末時点で有効なマカオ特別行政区永久性居民(永久居留権保有者)及び非永久性居民(臨時居留権保有者)IDカードの保有者(所得や年齢の条件はない)で、支給金額は前者が1万マカオパタカ(日本円換算:約13.9万円)、後者が6000マカオパタカ(約8.4万円)とした。支給額はいずれも前年から据え置き。4月1日から6月中旬にかけて銀行振込または小切手で一括支給されることになる。

今年度の配布対象人数は永久性居民が約68万人、非永久性居民が4万8000人で、実施にかかる予算は71億0010万マカオパタカ(約989億円)とのこと。

マカオ特別行政区による現金配布で市民に郵送される小切手のイメージ(資料)—本紙撮影

マカオ特別行政区による現金配布で市民に郵送される小切手のイメージ(資料)—本紙撮影

 マカオ政府では、新型コロナによる経済低迷を受け、現金配布の前倒しのほかにも、個人及び中小企業向けの各種経済対策の実施することも発表済み。マカオ居民(マカオ居留権保有者)1人あたり3000マカオパタカ(約4万1800円)分の電子商品券配布、家庭用電気及び水道料金の全額補助(今年3〜5月分)、納付済み2018年度職業税(個人所得税に相当)の7割返金及び今年度控除範囲の25%から30%への引き上げなどが挙げられる。

 マカオ政府は歳出のおよそ5年分にあたる財政準備を抱えており、これを活用して新型コロナ対応にあたる方針を打ち出している。

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