マカオ政府が「旅客税」検討を中止…オーバーツーリズム対策で研究着手も新型コロナで状況変化

 近年、訪マカオ旅客数(インバウンド)は右肩上がりに増加しており、昨年(2019年)は延べ3940万人に達し、過去最多だった前年から約1割増だった。

 マカオでは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行下、1月下旬から入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられる中、3月のインバウンド旅客数は前年同月から93.7%減の21万2311人(延べ、以下同)、1〜3月累計のインバウンド旅客数は前年同時期から68.9%減の321万9170人にとどまっている。

 マカオの面積は東京の山手線の内側の半分にあたる約32平方キロ、総人口は約68万人という小さな地域だ。新型コロナの影響が及ぶ以前は、中国本土の大型連休中を中心に、世界遺産が多く集まるマカオ半島の歴史市街地区で通行規制が敷かれることも恒常化するなど、市民の間でオーバーツーリズムを指摘する声も聞かれた。日本では昨年1月から国際観光旅客税(出国税)の徴収がスタート、イタリアの観光都市ベネチアでも昨夏から日帰り旅客を対象にした訪問税を徴収しており、マカオ政府旅遊局(MGTO)でも、オーバーツーリズム対策の一環として、これらに対して高い関心を持ち、研究対象としてきた。

 MGTOでは、昨年5月20日からマカオ市民、観光業界、訪マカオ旅客を対象としたアンケート調査などを含む「マカオ旅客税」の実行可能性リサーチを展開。今年1月9日に結果が公表され、市民の大多数が税の徴収に賛成したものの、観光業界は反対意見が主流となり、賛否が大きく分かれるかたちとなった。

 MGTOは5月7日にプレスリリースを発出し、昨年実施した実行可能性リサーチの結果、マカオ観光業界の特性、状況の変化(昨年下半期以降の香港における抗議活動及び今年1月下旬以降の新型コロナによる影響によるインバウンド旅客減)を総合的に勘案し、旅客税の検討を中止するすることを決定したと発表。ここ数ヶ月でインバウンド旅客数が大幅に減少し、観光関連業界が広く打撃を受けていることから、政府として現段階では業界の回復支援に重点を置いた施策を展開するとした。

インバウンド旅客激減で閑散としたマカオの観光名所のひとつ、世界遺産・セナド広場(写真:MGTO)

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