マカオ、6月のホテル客室稼働率11.8%…対前年77.6pt下落…新型コロナ防疫措置でインバウンド旅客激減=上半期累計63.9pt下落の27.2%

 マカオは人口約70万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオ政府統計調査局発表資料によれば昨年(2019年)通期の訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は前年から10.1%増の延べ(以下同)3940万6181人で、3000万人の大台を6年連続突破するとともに、3年連続で最多記録を更新。しかしながら、今年(2020年)1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限が講じられたことを受け、インバウンド旅客数は激減。世界的な流行拡大に伴い、3月下旬からは水際対策が一層強化された。6月のインバウンド旅客数は前年同月から99.3%減の2万2556人。1〜6月累計では前年同時期から83.9%減の326万8900人にとどまった。国際観光都市マカオはかつてない逆風に晒されている。

 マカオ政府統計調査局は7月29日、今年6月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用として政府が借り上げたホテルの客室分は含まず、以下同)は11.8%で、前年同月から77.6ポイント(pt)の大幅下落となった。前月からも0.5pt下落。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から84.7pt下落の5.8%、4つ星が69.8pt下落の19.9%、3つ星が69.5pt下落の21.1%、2つ星ホテルが42.9pt下落の28.9%、ペンサオンが28.2pt下落の35.0%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が11.1%減、4つ星ホテルが18.0%減、3つ星ホテルが4.2%減だった点も考慮する必要がある。2つ星とペンサオンについては入境制限が講じられたことに伴い中国本土からの越境通勤者の仮住まいとして利用されたことなどもあり、下落幅が小さかったものとみられる。

 今年6月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から10軒減の109軒、供給客室数は10.6%減の3.46万室あり、このうち5つ星ホテルが2軒減の34軒で、供給客室数は全体の63.0%を占める2.18万室。

 今年6月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から88.0%減の13.4万人。主な内訳は中国本土旅客が6.7万人、香港旅客が1.1万人で、いずれも9割超の下落。地元マカオはホテル側の市民向けプロモーションによるステイケーション需要の掘り起こし努力などもあって4.2%増の5.3万人に。ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.3日延びて1.7日。

 今年上半期(1〜6月)累計のホテル客室稼働率は前年の同じ時期から63.9pt下落の27.2%、ホテル宿泊客数は73.5%減の183.0万人、ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.2日延びて1.7日。

 参考までに、マカオの昨年通期の平均客室稼働率は90.8%だった。

 このところマカオ域内の状況は落ち着いているが、現在も厳格な入境制限(検疫措置)は維持されており、緩和のメドは示されていない。マカオ経済はインバウンド依存度が高く、影響の長期化が懸念される。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

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