マカオ気象局が津波アラート導入へ…南シナ海マニラ海溝で大地震発生時に影響の可能性指摘

 マカオは南シナ海に面した位置にある。大型台風襲来時や大雨と満潮が重なった際など、沿岸部で浸水被害もしばしば発生。近年、政府は災害に強い街づくりを目標として掲げ、浸水対策を強化して臨むほか、避難所の整備などを進めている。

 12月4日、マカオ立法会では来年度(2021年1〜12月期)の施政方針おける運輸・インフラ分野の質疑応答が行われた。この中で、複数の議員との間で津波対策に関する質問があり、気象局長が市民へ速やかに警戒情報を届け、適切な緊急措置を講じるため、津波アラートを導入する方針と回答した。

 気象局長の梁永權氏によれば、マカオの地理的条件を考慮すれば、太平洋で発生する津波についてはフィリピン群島や台湾の存在によるバリア効果によって、理論上は大津波が襲来する可能性は比較的低いものとし、かつ過去にも深刻な津波被害があったとする記録もないという。

 ただし、専門家による分析及びリスク評価によれば、フィリピン・ルソン島の西にあるマニラ海溝でマグニチュード7〜8規模の地震が発生した場合、南シナ海で津波を引き起こす可能性があり、巨大な波が3〜4時間後のマカオへ到達することもあり得るとし、被害を未然に防ぐため、津波アラートを導入する方針とのこと。すでに津波アラート導入を導入済みの近隣地区における運用状況などを参考にして準備を進めているとした。また、マカオにおける津波アラートの導入後、近隣地区との連携メカニズムも確立できるとした。

マカオの沿岸部に設置されている浸水に対する警戒及び避難所の案内標識(資料)=マカオ半島内港エリアにて本紙撮影

 マカオといえば地震とは縁がなさそうなイメージだが、実はしばしば有感地震も観測されている。今年は今年1月と4月に二度あったが、一部の市民が気づく程度の微弱な揺れだった。震源地はいずれもマカオから20〜30キロの位置にある広東省珠海市沖で、地震の規模は1月がM3.5、4月がM2.2だった。

 気象局では、歴史的にも地球物理資料的にもマカオは地震頻発地区には属さないとしながらも、マカオの東側には環太平洋地震帯、 西側には雲南・ヒマラヤ山南部地震活動地区などがあり、広東省・南シナ海は過去にマグニチュード6クラスの地震が発生したエリアでもあることから、地理的にそれらの影響を受ける地域であるとしている。20世紀以降に広東省で発生したマグニチュード5以上の地震は1905、1911、1918、1952、1969、1987年の6回で、最大だったのは1918年2月13日に南澳で発生したマグニチュード7.3クラスの地震。

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