マカオの鄙びたストリートをカラフルに…経済当局がエリア活性化による商機拡大策として実施

 マカオはアジア有数の国際観光都市として知られる。2019年のインバウンド旅客数は過去最多の約3940万人を記録した。

 ただし、コロナ禍で大きく状況は変わり、2020年には約590万人まで落ち込んだ。政府旅遊局では、新型コロナの世界的流行が依然として続く中、2021年は600万から1000万人程度になるとの見通しを明らかにしている。元の水準に戻るには数年かかるとみられる。

 コロナ前におけるマカオのインバウンドに絡む問題として、世界遺産が密集するマカオ歴史市街地区の一部とコタイ地区の人気IR(統合型リゾート)への旅客の一極集中があった。特に、歴史市街地区のセナド広場から聖ポール天主堂跡にかけての一帯では、週末や中国本土の連休シーズンに大混雑となり、交通規制が敷かれ、市民の日常生活にも影響が及んだ。これを受けて、マカオ政府の各部門が様々な手段を講じて旅客の分散化に取り組んできた。

カラフルに模様替えした建物が並ぶ十月初五街の様子(写真:DSEDT)

 マカオ政府経済・科技発展局(DSEDT)は2月21日、マカオ半島・内港エリアにある十月初五街及び海邊新街にある建築物の壁面をカラフルに塗り直す作業が完成したと発表。同エリアでは昨年にも3ヶ所でウォールアートを整備している。同局では、最近の消費者は写真映えする場所を好む傾向があることから、同エリア一帯の吸引力を高めることで、消費増につなげたいとしている。

 内港エリアはかつてマカオの主要な海の玄関口として栄えたが、その後は港の移転もあり、徐々に衰退を余儀なくされた。十月初五街及び海邊新街一帯は、昔ながらの雰囲気が色濃く残る鄙びた商店街の風情がたいへん趣深い。特色ある老舗も多く店を構える。セナド広場や聖ポール天主堂跡から徒歩圏内にあるにも関わらず、これまで素通りされがちだったが、今回のような施策を機にSNSなどを通じて注目が高まる可能性も十分あるだろう。

 なお、壁面の塗装とウォールアートは経済・科技発展局と地元のアーティストと共同で製作したもので、東西文化の交差点としてのマカオらしさを表現したとのこと。

海邊新街のウォールアート(写真:DSEDT)

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