マカオ、カジノ法改正に関するパブコメ総括報告書発表…「事業者数6社/契約期間20年未満」の意見が主

 世界一のカジノ売上を誇る都市、マカオ。現在、コンセッション(カジノ経営権契約)を結ぶ6社がおよそ40のカジノ施設を運営している。6社の契約満期日は2022年6月26日となっており、期限が迫りつつある。

 現行のコンセッションが満期を迎えるにあたり、マカオ政府は既存契約の延長ではなく再入札を実施するという方針を一貫して示しており、再入札実施に向けた法整備などの準備を進めてきた。その一環として、娯楽場幸運博彩経営法律制度(カジノゲーミング経営法、通称「カジノ法」)改正に関するパブリックコメント(意見公募手続き)が9月15日から10月29日までの45日間にわたって実施され、期間中に9回の公聴会(うち1回はカジノ及びカジノ仲介業者向け)が開かれた。

 マカオのカジノ法は、現行カジノ経営権のスタート時期にあたる2001年に制定されたもの。20年の間にカジノ業界はもとより、経済・社会状況も大きく変化したことを踏まえ、政府が次期コンセッションを見据えて改正を計画している。

 マカオ特別行政区政府は12月23日、9月に実施したカジノ法改正に関するパブリックコメントの総括報告書を発表。募集手続き期間中に1340件の意見、提案が当局に寄せられたという。

 最大の関心事とされるカジノ経営コンセッション事業者数(カジノライセンス発給数)については、「6社以上とすべき」とする意見が全体の約6割(内訳は「6社」43%/「6社以上」16%)、契約期間は「20年未満とすべき」が4割超に上った。

 政府は報告書内の分析と回答の中で、コンセッション事業者数を6社に設定すべきとの意見が大多数であったと指摘(現行体制はコンセッション事業者3つと、この3事業者に紐づくサブコンセッション3社の計6社)。6社より少なくなった場合に業界の雇用の不安定化を招く恐れがあるなど社会に対する影響が大きいことを指摘したり、業界の健全な持続的発展のほか土地や人的資源のキャパシティに配慮して不当競争の出現を避けるよう求めるとする意見が寄せられたという。カジノ業界が一定の規模を維持することで、社会の安定と雇用機会を確保する重要な基盤となり、また安定的な税収の保証による政府の収支バランス均衡化が各種民生福祉の継続と社会インフラ建設推進を有利かつ安定的に実現できることを挙げ、政府は寄せられた意見、提案を考慮し、社会政策と経済環境に沿うかたちで適切なコンセッション事業者数を決定するとした。

 コンセッション期間については171件の意見が寄せられ、内訳は「20年未満」が72件、「(現行と同じ)20年を維持」が56件、「20年以上」が17件、「態度保留/中立」が26件。政府は回答の中で、コンセッション期間の短縮により、発展の趨勢や政策に応じてタイムリーかつ適切にカジノ業への調整をかける余地が生まれることから、業界の競争力確保につながるとの考えを示した。

 このほか、報告書では「国家の安全とマカオ特別行政区の利益」、「カジノ税の調整」に関する提案があったことにも言及している。

マカオの「カジノ法改正に関するパブリックコメント総括報告書」表紙

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