マカオの2022年GDPは前年比3.6〜37.9%回復…マカオ大学がインバウンド旅客回復度別に4パターン予測

 マカオ大学マカオ研究センターと社会科学学部経済学科は1月26日に記者会見を開き、今年(2022年)のマカオのマクロ経済予測を発表。

 マカオ経済はインバウンド依存度が極めて高い。新型コロナウイルス感染症の世界的流行が長期化する中、今後の流行状況の変化と政府の政策(水際措置等)によりインバウンド旅客数が大きく変動することを踏まえ、インバウンド旅客の回復度別に4つのシナリオを用意して幅のある予測を示すかたちとなった。具体的には、①インバウンド旅客数990万人(2019年の25%)、②1380万人(35%)、③1770万人(45%)、④2170万人(55%)の4つ。参考までに、昨年(2021年)のインバウンド旅客数は771万人(19.6%)で、最も悲観的なシナリオ①でも昨年を上回ると見込んでいる。

 今年のGDPは3.6%〜37.9%の回復(このうちゲーミング(カジノ)サービス業を主とするサービス輸出は5.8〜64.7%の回復)、政府最終収入は512億〜659億パタカ(日本円換算:約7283億〜9374億円)前後、個人消費はいずれのシナリオも約1.1%増、固定資産形成総額は8.0〜12.9%増、仕事から得られる月収は1.8〜3.8%増、失業率は2.6〜3.9%の間などとする予測を示した。

 マカオ大学社会科学学部経済学科の何偉雄助教は会見において、昨年は非常に厳しい経済収縮を経験した前年から回復が見受けられたが、それは力強いものではなく、マカオ政府が特に中小企業を支援する様々な支援を実施してきたこと挙げ、依然として中小企業の経営は苦しく、政府による継続的な支援が必要であり、社会は民生支援についても期待しているとコメント。また、政府が直面している課題は、いかにマカオの新型コロナワクチン接種率を高め、インバウンド旅客数の回復につながる水際措置緩和を図れるかだとした。

 なお、昨年第3四半期まで(通気は現時点で未公表)のマカオの実質GDPは前年同期比27.3%増。ただし、前年同時期は58.0%収縮だったことから、本格回復には至っていない状況が伺える。

マカオ大学による2022年マカオマクロ経済予測を発表記者会見の様子=2022年1月26日(写真:University of Macau)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  バレーボールの国際大会「女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)2024」が(2024年)5…
  2.  マカオにとって最大の旅客ソースとなる中国本土で5月1日から5日までが5連休(「五・一」労働節ゴー…
  3.  マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR…
  4.  澳門海關(マカオ税関)は4月28日、各イミグレーション施設で検査体制の強化を図り、違法な運搬活動…
  5.  マカオ政府統計・センサス局が4月26日に公表した資料によれば、今年(2024年)3月の総合消費者…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  4.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…

注目記事

  1.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  2.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun