香港、新型コロナ新規感染確認1325人…2日ぶり最多更新、中国本土から支援隊到着=2/11

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。2月に入って以降、市中における新規感染確認数が急増し、その多くが感染経路不明となるなど、状況が深刻化している。

 香港衛生当局の発表によれば、2月11日午前0時時点集計の単日の新規感染確認は1325人で、内訳は市中が1323人、輸入性(海外からの入境者)が2人。

 単日の感染確認数は流行開始以来最多をが2日ぶりに更新。4日間で3度目の4桁台となった。さらに、明日以降に感染確認される可能性の高い初歩陽性者が約1500人いることも発表されている。第5波が始まった12月31日以降の累計市中感染確認数は5535人で、地区別では葵青、深水ポ、沙田が最も多く,次いで屯門と黄大仙の順とのこと。

 また、新たに2人の死亡が確認され、第5波下での累計死亡者数は5人となり、いずれも70〜90代の高齢者。ほかに、重篤状態の患者が11人いるという。

 香港衛生当局は11日夕方の会見の中で、現在の流行状況は非常に危機的で、医療システムは過負荷状態にあり、オミクロン変異株の感染力は強く、制限策を講じない場合、感染者1人から10人以上に伝播し、幾何級数的な感染者の増が危惧されるとした上、感染経路の追跡や検疫措置のみでは流行を抑制するには足りず、ソーシャルディスタンスの確保が最重要となり、市民に対して外出を控えるよう再々の呼びかけを行った。衛生当局では、感染者数はピークに達していないとの見方も示した。

 香港では市中で出現した感染確認及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人、下水から陽性反応が検出されたエリア等が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)や強制ウイルス検査の対象となっており、域内におけるソーシャルディスタンス措置、域外からの流入防止を目的とした水際措置の引き締めなどの策も講じられている。

 近日、高齢者介護施設でのクラスターや医療関係者の感染確認例も相次いでおり、検査体制も逼迫しているとされる。検査支援のため、すでに中国本土の広東省から医療チームが香港に到着したほか、中国本土側と防疫及び物資輸送等の支援に関する協議を行うため、香港政務庁長官率いる一行が11日に広東省深セン市に入った。

 香港の2月10日午後8時時点のワクチン接種率は81.8%(1回目の接種完了)、73.3%(2回目の接種完了)となっている(※1月21日から新たに接種対象となった5〜11歳は含まず)。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、市中感染確認例が相次ぎ出現したこと、ワクチンパスポート(所定施設入場時に1回以上のワクチン接種証明を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から上昇傾向が続く。10日の接種回数は8万6841回で、単日最多記録を4日連続更新した。政府は免疫の壁を構築するための目標として、接種率9割の達成を掲げており、ワクチンパスポートが10日から一部で先行スタートしている。

新界・元朗地区にある団地「洪福邨」の特定棟(洪樂樓)で実施された強制ウイルス検査の受検確認作業の様子。検査を通じて9人の初歩陽性者が見つかった=2022年2月11日(写真:news.gov.hk)

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