中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年（2022年）に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種（いわゆる「ステルスオミクロン」等）の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

　中国の国家衛生健康委員会（NHC）が4月25日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月24日の中国本土における新規市中感染確認者数は2666人（前日から1100人増）だったとのこと。内訳は、上海市2472人、吉林省79人、黒竜江省26人、北京市14人、江西省14人、浙江省13人、湖南省12人、内モンゴル自治区9人、河南省5人、青海省5人、江蘇省4人、遼寧省3人、広東省4人、山西省2人、山東省2人、天津市1人、福建省1人、四川省1人。このうち上海市の846人、吉林省の39人、浙江省の12人、福建省の1人、青海省の1人の計899人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは191日連続、4桁となるのは44日連続。

　市中の無症状感染例は1万7581人（前日から2649人減）。内訳は、上海市1万6983人、江西省116人、吉林省107人、江蘇省92人、河北省74人、山東省49人、安徽省29人、浙江省19人、河南省18人、雲南省14人、黒竜江省12人、北京市5人、山西省5人、湖北省2人、青海省2人、広西チワン族自治区1人。

　無症状を含む新規感染者が5桁となるのは23日連続で、3日連続で2万人を上回った（2万0247人）。このうち上海市の報告数が1万9455人に上り、96.1%を占めた。先に深刻な再流行が出現した吉林省における状況が落ち着き、他の省市区でも大規模な感染拡大に出現には至っていない中、高止まりの続く上海市の占める割合が際立っているのが特徴といえる。

　4月24日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は2万9178人（うち輸入性が210人）で、重症者は274人（輸入性はゼロ）。無症状の患者24万5343人（輸入性612人）が医学観察下にあるとのこと。

中国・上海（資料）—本紙撮影

　中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零（ゼロコロナ化）」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調している。目下、何らかの封鎖が講じられている地域が多く存在する。

　このところ中国本土の多くの省市区で新規感染者の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン（都市封鎖）状態が続き、市民は長期にわたって自宅待機を余儀なくされているが、本格的なロックダウンの解除時期も見通せない状況。同市における新規感染確認数は依然として高止まりしながらアップダウンを繰り返している。今回の再流行開始以来の累計感染確認数は約4.1万人。24日まで8日連続で複数の死亡例が報告されており、累計は138人に。なお、24日は単日最多となる51人を記録した。

　近日は北京市でも感染例の出現が相次ぐ。すでに市内に複数の伝播チェーンが存在するとされている。感染者は幅広い層に分布しているが、学生が多いのが特徴とのこと。同市当局は24日、状況はシリアスで複雑なものとなる中、早期の終息に向けて断固たる措置を講じる必要性を強調した。

　香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。24日の同省の感染確認例はすべて広州市から報告されたケースとのこと。

　マカオ特別行政区では4月24日まで196日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年（2021年）12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、第5波開始以来、4月24日までの累計は約118.9万人（無症状含む）、死亡者数は9036人、死亡率は0.76%。3月初旬にピークを過ぎたとされ、直近では24日まで10日連続1千人以下を維持。24日単日ではピーク期以来最少となる429人（輸入性19人含む）に。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。