香港の新型コロナ新規感染確認者数が3ヶ月ぶり3千人超に…2週間後倍増の見通しも=7/7

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が7月7日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から184人増の2856人、輸入性は23人増の172人だった。

 市中と輸入性の合計は前日から213人増の3028人で、4月5日以来およそ3ヶ月ぶりに3千人超となった。第5波開始以来の累計感染確認数は約124.9万人。

 新規の死亡報告数は1人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9194人。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーでクラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が3ケタに達したほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロン変異株派生型(BA2.12.1など)の伝播につながったケースなどもある。近日も中国料理店や火鍋店で2桁規模のクラスターが相次ぎ発生した。

 7日の学校からの陽性報告数は180校の201人(生徒163人、教職員38人)。2日連続で減少だったものの、6月中旬頃からは対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホームからの陽性報告も相次いでおり、小規模なクラスターも出現している。

 このところ香港でもオミクロン変異株の派生型、BA.4あるいはBA.5の感染例が増えているとされる。7日のBA.4あるいはBA.5の感染者は17人とのこと。当局は、重症化を引き起こすとするデータ的裏付けはないが、感染力が強いことから、入院患者の増につながる懸念があるとした。また、現在の感染拡大スピードを考慮すると、2週間後の単日の感染者数が6千人に達する可能性があるとの見通しを示した。

 このほか、香港政府は7日、香港へ到着した航空便に規定を上回る数の陽性者がいた場合に一定期間乗り入れを禁止するブレーカー措置について、同日付で緩和することを発表。同時に、隔離検疫期間中の検査回数が1回増となる。

 7月6日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.7%(1回目の接種完了)、88.8%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。6日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万1385回で、7日移動平均は1万1090回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(76.03%)、70〜79歳(81.88%)、80歳以上(69.3%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港国際空港(資料)-本紙撮影

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