複数金融機関が6月マカオのカジノ売上予測を上方修正…人気歌手のコンサート開催による波及効果持続

 マカオでは6月2週目からデビュー約40年のベテランで「歌神」の愛称でも知られる香港の人気歌手、張学友(ジャッキー・チュン)さんのコンサートがコタイ地区にあるカジノIR(統合型リゾート)ザ・ヴェネチアン・マカオ併設のコタイアリーナで4週末連続で開催されている。

 複数金融機関が同コンサート(6月9、10、11日の3公演)の開催を受けて6月5〜11日の単日平均カジノ売上(カジノ粗収益、Gross Gaming Revenue=GGR)が前の2〜3週平均値から大きく改善したとするレポートを発出したとする記事を前週配信したばかりだが、このほど発出された最新のレポートによれば、その後の16、17、18日に開催の3公演分を含む1週間についても効果が持続しているという。

「張学友60+コンサートツアー」マカオの初日の様子(資料)=2023年6月9日、コタイアリーナ(写真:Sands China Ltd.)

 まずシティでは、6月1〜18日累計のマカオのカジノ売上が約95億パタカ(日本円換算約1647億円)に達する見込みとし、このうち直近1週間(6月12〜18日)の単日平均は前週比8%増の約5.71億パタカ(約99億円)で、増加要因として張学友さんのコンサート開催を挙げた。また、VIPルームはおよそ前月並みで推移しているが、マス(いわゆる平場)は前月比5〜7%増となっており、6月を通してのカジノ売上予測を従来の135億パタカ(約2341億円)から155億パタカ(約2688億円)に上方修正するとした。

 JPモルガンは、6月1〜18日累計のマカオのカジノ売上見込みを95億パタカ(約1647億円)、単日平均で5.27億パタカ(約91億円)に上り、前週に限った単日平均は約5.71億パタカ(約99億円)となり、コロナ明けの閑散期における最高水準を2週連続更新するのみならず、5月の単日平均も上回る状況とした。また、張学友さんのコンサートがカジノと相性の良い客層を呼び込んでおり、カジノ売上を押し上げたる要因となっているとの見方を示し、このようなエンターテインメントイベントがマカオのカジノ産業の発展を牽引することは確実で、マス部門の回復スピードはコロナ前を上回っているとのこと。同行は6月を通してのカジノ売上見込みを140億〜145億パタカ(約2428〜2515億円)としているが、今月ここまでの動向からみて保守的すぎるかもしれないとした。

 このほか、HSBCグローバルリサーチは6月に入って以来のマカオの単日平均カジノ売上は5月比で5%増となっており、月内残りの単日平均が4.8億〜5.5億パタカ(約83〜95億円)程度で推移するとして、6月を通してのカジノ売上見込みを前月比で2〜3%増、コロナ前2019年同月の64〜68%にあたる153億〜161億パタカ(約2653〜2792億円)とした。

 なお、7月にかけてもコタイ地区にあるIRスタジオ・シティに併設する会場で香港の人気歌手、郭富城(アーロン・クオック)さんのコンサートが毎週末開催されるほか、複数のIRで多くのコンサートが開催予定となっている。

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