マカオで今年5人目の在郷軍人病感染者確認…患者は80歳の地元男性、容体安定

 マカオ政府衛生局(SSM)は5月23日夜、マカオで今年(2024年)5人目となる在郷軍人病(退役軍人病、レジオネラ肺炎)感染者を確認したと発表。

 患者は地元マカオ人の男性(80)で、5月15日から発熱と咳の症状が現れ、公立のクリニックを受診したが、以降も症状が続き、息切れの症状も出現したため、21日に私立総合病院の鏡湖醫院を受診し、補助検査診断で両肺の肺炎及び呼吸不全と診断され、公立総合病院の仁伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)に転院して入院治療を受けることになったという。その後、24日に補助検査の結果がレジオネラ・ニューモフィラ抗原陽性となったことから、在郷軍人病と診断されるに至ったとのこと。患者の容体は落ち着いており、すでに熱も下がっているとした。在郷軍人病の感染確認例については患者の潜伏期間中の渡航歴に関する情報が公表されるのが通例だが、今回のケースでは明らかにされていないため不明。

 SSMによれば、在郷軍人病はレジオネラ属菌が引き起こす伝染病の一種で、菌を含む水が空調などを通じて飛散することによる空気感染すると考えられているとのこと。病名の由来は1976年に米国フィラデルフィアで開催された在郷軍人大会で集団発生したことによる。レジオネラ属菌は多様な環境下に存在するが、20〜45℃の温水で成長しやすく、水のタンク、スパプール、噴水、家庭で用いられる医療用吸入器などから見つかることも多いとのこと。症状としては、発熱、空咳、呼吸困難、倦怠感、頭痛、筋肉痛、腹痛、下痢などが挙げられ、抗生物質による治療が可能とのこと。

 マカオで在郷軍人病の感染者が見つかるのは極めて稀なケースだが、今年については3月に1人、4月に4人の感染確認があった(今回のケース以外はいずれも潜伏期間中に中国本土または香港滞在歴があり)。近年の感染確認例は2023年が1人、2022年が1人、2021年が3人、2020年が6人、2019年が2人、2018年が5人。

 SSMは広く公衆に対して在郷軍人病予防策を講じ、感染リスクを軽減するよう累次の呼びかけを行っている。

マカオの公立大型総合病院、仁伯爵綜合醫院(資料)=本紙撮影

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