人口69万人のマカオ、新型コロナワクチン2回目接種完了は2.8万人

 マカオでは、2月9日から高リスク群を対象とした新型コロナワクチンの接種がスタートした。

 その後、同月22日から接種対象が全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)へ、3月9日からマカオで就労する海外労働者やマカオの学校に通う非居民の学生らへ、4月9日からは海外労働やの家族、領事職員、就労ビザが切れたものの帰国できず滞在している人など上記以外の合法的常住者(過去6ヶ月内の過半をマカオに滞在した上で条件を満たした場合)へも拡大されている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターの発表によれば、4月17日午後4時までに接種予約を済ませた人は延べ13万5091人おり、接種本数は7万9921本、すでに接種を受けた人は5万1612人とのこと。内訳は1回目の接種完了が2万3303人、2回目の接種完了が2万8309人。マカオの人口は約69.3万人。ここまで接種率は低水準にとどまっているが、マカオでは新型コロナ流行の封じ込めに成功している状況で、切迫性がないためとみられる。

 同センターでは、自分自身に対する保障、家族の保護、さらには免疫の壁を形成することでマカオを護ることができると早めの接種を呼びかけを続けている。

 現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」(ドイツ製)の2種。接種希望者は2つのワクチンの中から自由に選択することができる。ただし、中国医薬集団製の接種対象年齢は18〜59歳で、60歳以上が接種を受ける場合はリスク暴露レベルが高く、かつ健康状態が良好という条件が付くが、ビオンテック製のmRNAワクチンは16歳以上で上限設定がないことから、60歳以上については基本的に中国医薬集団製の接種予約を受け付けない方針としている。

 このほか、英国アストラゼネカ製のアデノウイルスベクターワクチン(米国製)も到着予定となっているが、当初今年第3四半期をめどとしていたものの、近日マカオ政府は供給の一時見合わせ方針を明らかにしている。マカオ政府が確保した3種のワクチンの合計は150万本。いずれも2回の接種(約1ヶ月間隔)が必要なものだが、人口の2倍に相当するため、充足しているといえる。

ビオンテック製のmRNAワクチンの接種を受けるマカオ居民(資料)=2021年3月3日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 気になるワクチン接種後の異常だが、17日午後4時までの累計で333件報告されており、めまいや微熱など軽微なものが331件とのこと。重大事案は2件で、いずれもビオンテック製ワクチンの接種者。1件目は左胸痛を訴えた後に急性冠症候群の疑いと診断されたもの(3月10日公表)だが、その後の専門家らによる分析で接種との因果関係なしと判断された。2件目は顔面神経麻痺が出現したもの(4月16日公表)で、専門家による分析が行われる予定。

 なお、ワクチン接種は希望者のみを対象としている。費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3400円)となる。政府はポルトガル系のフィデリダーデ・マカオ社と不良副反応・副作用に関する保険契約も締結済みで、保障期間は接種後90日間、補償額は1人あたり最大100万マカオパタカ(約1360万円)とのこと。

 4月17日までのマカオにおける新型コロナの感染確認数は累計49人。内訳は域外からの輸入性が47人、輸入関連性事案が2人。市中感染例は384日連続ゼロを維持しており、封じ込めに成功している状況。院内感染、死亡例についてもゼロ。

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