マカオ、2021年9月のインバウンド旅客数は62.9万人…水際措置緩和で対前月53.7%増、対前年でも40.1%増

 マカオ政府統計調査局は10月21日、今年(2021年)9月の訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)統計を公表。

 今年9月インバウンド旅客数は前月から53.7%増となる62万9085人(延べ、以下同)で、対前月では2ヶ月ぶりのプラスに。前年同月からも40.1%増だったが、新型コロナの影響が生じる前にあたる2019年の同月からは77.2%減。

 内訳は、宿泊を伴う旅客が前年同月比76.1%増の28万1027人、日帰り旅客が20.2%増の34万8058人。旅客の平均滞在時間は前年同月から0.6日長い1.6日。宿泊を伴う旅客の平均滞在時間は0.6日長い3.3日、日帰り旅客は横ばいの0.1日。

 インバウンド旅客のうち国・地域別で最多だったのは中国本土からの旅客で、全体の92.7%を占める58万3056人、前年同月比では41.4%増。このうち個人旅行客は17万8325人。中国本土からの旅客の原居地別では、大湾区(グレーターベイエリア)9市が33万9636人で、マカオに隣接する広東省珠海市が55.4%を占めた。香港と台湾からの旅客はそれぞれ4万1156人、4813人。

 インバウンド旅客の入境ルートは前年同月から陸路が32.6%増の58万2909人で最多。このうち關閘イミグレーション経由が74.2%を占めた。空路は3万1855人、海路は1万4321人。

 前月から上昇に転じた要因として、7月下旬には中国本土の各地で感染力が強いとされるデルタ株の再流行が発生し、8月初頭にマカオでもこれに関連した市中感染確認例が出現したため、水際措置が強化されたことが挙げられる。8月下旬に水際措置は従前レベルまで緩和されたため、9月は反転増となった。ただし、9月下旬にマカオの隔離検疫用ホテルの警備員の間でクラスターが発生(デルタ株)したことを受けて、再び水際措置が強化され、10月初旬にかけて新たな関連事案が出現したことから、年間最大の書き入れ時となる国慶節大型連休を含む10月のインバウンド旅客数に再びマイナス影響が生じる見込み。

 今年1〜9月累計のインバウンド旅客数は前年同時期から43.2%増の575万5528人。内訳は宿泊を伴う旅客が61.3%増の290万3660人、日帰り旅客が28.5%増の285万1868人。旅客の平均滞在時間は0.2日延びて1.6日。宿泊を伴う旅客の平均滞在時間は0.3日延びて3.1日、日帰り旅客は0.1日短い0.1日。

 マカオと中国本土の間では、昨年第4四半期までに往来制限が緩和され、直近7日以内の新型コロナPCR検査陰性証明の提示など一定の条件を満たせば隔離検疫免除で相互往来が可能となったことで、今年5月にかけてインバウンド旅客の緩やかな回復が進んだ。ただし、中国本土では再流行が散発的に発生しており、状況に応じて「中リスク地域」指定が行われ、これに該当する地域からマカオへ入境する場合には、隔離検疫を必要とするなどの措置が講じられる。8月以降はマカオでも市中感染確認例が相次ぎ、中国本土側でマカオからの入境者に対する隔離検疫を必要とする状況も生じた。

 目下、中国本土を除く国・地域からのマカオ入境は厳しく制限されている状況。香港、台湾居民については、直近の滞在地、渡航歴によって分類され、入境禁止、14〜35日間(直前の滞在地域などにより異なる)の政府指定のホテルにおける隔離検疫(費用は自己負担)、新型コロナウイルスPCR検査陰性証明書の提示を求めるなどの対応。外国人については原則入境禁止となっていたが、就労ビザを持つ人などを対象に一部緩和された。ただし、要件をクリアした上、当局への申請、承認手続きの必要があり、ハードルは高い。

 マカオの昨年(2020年)通期のインバウンド旅客数は前年から85%の大幅減となる約590万人にとどまった。マカオ政府旅遊局(MGTO)は今年のインバウンド旅客数見通しを600万〜1000万人程度としている。

マカオ・タイパ島の大潭山から手前にコタイ地区方面を望む(資料)=2021年9月本紙撮影

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