マカオ、2021年5月のインバウンド旅客数は86.6万人…前年同月比52.7倍増も2019年同月の4分の1にとどまる

 マカオ政府統計調査局は6月18日、今年(2021年)5月の訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)統計を公表。5月は初旬にかけて中国本土で「五・一」労働節の5連休があった。

 5月のインバウンド旅客数は前年同月から52.7倍増、前月からも9.0%増となる86万6063人(延べ、以下同)だった。対前月では3ヶ月連続のプラスに。ただし、新型コロナの影響が生じる前にあたる2019年の同月との比較では4分の1にとどまっており、対前年で顕著な回復が見受けられる中でも、依然としてコロナ前水準への本格的な回復には至っていない状況だ。

 宿泊を伴う旅客は47万3808人、日帰り旅客は39万2255人。旅客の平均滞在時間は前年同月から3.7日短い1.6日に。宿泊を伴う旅客の平均滞在時間は11.8日短い2.9日、日帰り旅客は0.1日短いの0.1日だった。

 インバウンド旅客のうち国・地域別で最多だったのは中国本土からの旅客で、全体の91.8%を占める79万5389人、前年同月比では52.8倍増。このうち個人旅行客は33万6314人。中国本土からの旅客の原居地別では、大湾区(グレーターベイエリア)9市が42万9712人で、このうちマカオに隣接する広東省珠海市が46.7%を占めた。香港と台湾からの旅客はそれぞれ6万4265人、6363人。

 インバウンド旅客の入境ルートは前年同月から陸路が46.6倍増の76万4547人で最多。このうち關閘イミグレーション経由が80.9%を占めた。空路は7万5244人、海路は2万6272人。

 今年1〜5月累計のインバウンド旅客数は前年同時期から4.7%増の339万9310人。内訳は宿泊を伴う旅客が20.0%増の184万3579人、日帰り旅客が9.0%減の155万5731人。旅客の平均滞在時間は0.3日延びて1.7日に。宿泊を伴う旅客の平均滞在時間は0.2日延びて2.9日、日帰り旅客は0.1日短い0.1日。

 マカオでは昨年1月末以降、厳格な水際措置が維持されているが、マカオと中国本土における流行状況が落ち着いてきたことを受け、昨年7月15日から両地の間で往来制限が一部緩和(新型コロナウイルス核酸検査の陰性証明書の提示などの条件付きで1隔離検疫を免除)された上、中国広東省珠海市居民及び広東省居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の申請受付がそれぞれ8月12日、26日から再開、9月23日から中国本土全域に拡大した。これに伴い、中国本土旅客がけん引するかたちで旅客が戻りつつある状況が続いた。今年1月、2月にかけて、中国本土の一部エリアで市中感染が出現したことで、移動を控えるよう呼びかけがなされたことなどで一時落ち込んだが、2月下旬以降は再び落ち着きを取り戻し、3月から5月にかけてコロナ影響下の単日旅客数の最多記録更新が続いている。しかしながら、5月下旬に広東省の広州を中心に再流行が出現したことを受け、同省との往来に対する水際措置が強化されたことから、6月以降のインバウンド旅客数にマイナス影響が及び可能性がある。このほか、流行状況の悪化が続く台湾からの入境者に対する水際措置も強化が進んでいる。

 目下、中国本土を除く国・地域からのマカオ入境は厳しく制限されている状況。香港、台湾居民については、直近の滞在地、渡航歴によって分類され、入境禁止、14〜35日間(直前の滞在地域などにより異なる)の政府指定のホテルにおける隔離検疫(費用は自己負担)、新型コロナウイルスPCR検査陰性証明書の提示を求めるなどの対応。外国人(マカオ就労ビザ保有者を含む)については原則入境禁止が維持されているが、昨年12月1日からマカオ入境前21日間以上中国本土に滞在していることや入境目的などの諸条件をクリアした上でマカオ当局へ事前入境申請ができるようになった。しかしながら、条件が厳しいことから恩恵を受ける数は限定的とみられる。

 マカオの昨年(2020年)通期のインバウンド旅客数は前年から85%の大幅減となる約590万人にとどまった。マカオ政府旅遊局(MGTO)は今年のインバウンド旅客数見通しを600万〜1000万人程度としている。

労働節5連休中のマカオの観光名所「セナド広場」の様子(写真:MGTO)

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