マカオ版ゆりかもめ、タイパ線2019年完成も同年内営業運転開始は困難か

マカオ初となる軌道系大量輸送機関として大きな期待がかかるマカオ新交通システム(マカオLRT)第1期プロジェクトだが、計画が大幅に遅延しており、具体的な営業運転開始時期のメドが立たない状態が続いている。

マカオLRT第1期プロジェクトはマカオ半島北部の關閘から外港フェリーターミナル、新口岸、南灣湖を経由して媽閣に至るマカオ半島線、媽閣から西灣大橋を経てタイパ島に入り、大型IR(統合型リゾート)が建ち並ぶコタイ地区を通ってマカオ国際空港、タイパフェリーターミナルに至るタイパ線の2線、21駅、21キロメートルで構成される。

マカオ政府運輸工務庁のライムンド・ロザリオ長官は12月5日にマカオ立法会で演説した際、マカオLRTプロジェクトの進捗状況について、2012年末に先行着工したタイパ線(9.3km)の完工時期は2019年で問題ないと自信を示した。しかしながら、同年内の営業運転開始に関して、自身及び運輸工務庁内部の経験不足を挙げ、やや懸念があるとした。着工時点での開業予定は2015年4月だった。

広島県の三菱重工三原製作所で走行試験を行うマカオLRT車輌(資料)=2014年4月(写真:GIT)

広島県の三菱重工三原製作所で走行試験を行うマカオLRT車輌(資料)=2014年4月(写真:GIT)

なお、ルート調整に難航し、現在まで本格着工できていないマカオ半島線について、一部立法会議員から計画中止や変更を求める声が出ているが、ロザリオ長官はそのものは「不変」であることを強調。その上で、タイパ線の完成を優先し、タイパ線からコロアン島方面及び中国・広東省珠海市横琴新区方面への支線延伸計画の準備が進める意向を示した。

マカオLRT第1期プロジェクトは、国際入札を経て日本の三菱重工と伊藤忠商事の共同体が駅舎と土木工事を除くLRTシステム一式を46億8800万パタカ(約667億円)で受注しており、マカオの公共工事として日本企業が獲得した最大規模の案件としても注目されている。東京の「ゆりかもめ」と同タイプ(クリスタルムーバー型)の日本製の鉄道車輌がマカオの街を走る予定。

マカオLRTタイパ線の排角駅周辺では駅舎及び高架の姿がはっきり確認できる(資料)=2016年7月—本紙撮影

マカオLRTタイパ線の排角駅周辺では駅舎及び高架の姿がはっきり確認できる(資料)=2016年7月—本紙撮影

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