マカオ製スロット機、市場占有率5%

ゲーミング産業の規模拡大とともにスロット機の台数も増え続け、地元企業による研究開発への参入も進む。業界関係者によると、マカオ製のスロット機による市場占有率は5%に達するという。

12日付地元有力紙「澳門日報」が報じた。LTゲーム(樂透遊戲有限公司)主席で澳門娛樂設備廠商會会長の陳捷氏によると、カジノライセンスの対外開放時期の前後はスロット機も海外からの輸入が中心だったという。ここ十年、地元の娯楽設備生産業者が次々と頭角を現し、自社製品を各カジノへ売り込んでいる。マカオ製スロット機の市場占有率は5%に至り、9割をマカオ、1割を海外へ輸出する。しかし、スロット機の製造にかかるコストは高く、業界としては一般に想像されるような好況には至っていないとのこと。

マカオ政府博彩監察協調局の資料によると、2005年に3,421台(第4季)、12.5億パタカ(通年)だったスロット機の台数と売上は、2012年には同16,855台、132.4億パタカとなり、それぞれ約4.9倍、10.6倍と大きく伸長。

陳氏によると、カジノライセンスの対外開放初期、新規カジノ施設のゲーミングテーブルやスロット機はすべて海外からの輸入に頼っていたという。しかし、開放から約10年が経つ中で、地元の家具メーカーがカジノテーブル製造、機械メーカーがスロット機の製造に乗り出すといった形で、マカオの娯楽設備製造業が萌芽し、発展してきたという。

スロット機を例に挙げると、数年にわたる研究開発を経て新要素を取り込んだ結果、各カジノ企業が採用が進み、市場の5%を占めるにまで至った。だたし、海外で開発された機器が市場をリードしている現状に変わりはない。しかし、マカオで研究開発されているスロット機は中国語によるものが多く、地元マカオ及び海外のカジノ企業が中国人マーケットをターゲットとする際に活用できる存在といえる。現状、9割を地元企業へ納品するが、欧州、米州、オーストラリアへといった海外にも1割を輸出している。

マカオのゲーミング市場はすでに世界最大規模となっており、娯楽設備の充実、メンテナンス需要も増え続けている。世間からはマカオのゲーミング関連産業は「入れ食い」状態と思われがちだが、スロット機業界に関しては想像されるほど儲かる商売でもないという。最も大きな要因はスロット機開発にかかるコスト高。スロット機一機種の設計・開発・生産にかかる総投資額は200万米ドルにも達し、先行して特許申請をした上で製造を開始し、数百万回に及ぶテスト、カジノ企業での最短3か月に渡る試用期間を経てようやく納品にこぎつけることができる。しかし、その途中でたった一つのトラブルが発生しただけで、すべてが水泡に帰すという。スロット機の機種入れ替えサイクルは約3年といい、同期間に200~300台を販売することで、ようやくコストを回収できる。

スロット機製造はハイテク産業ではないが、数学、ソフトウェア、プログラミング、キャラクターデザイン、音楽などの関連分野への波及効果も期待できる。マカオが世界一のカジノ都市であるなど、今後発展の可能性は大きいことから、業界では政府に対し産業育成へのサポートを期待している。

2012年にマカオで開催されたゲーミング産業見本市「G2E(Global Gaming Expo) Asia」でブース展開する地元マカオのスロット機製造メーカーLTゲーム社(資料)―本紙撮影

2012年にマカオで開催されたゲーミング産業見本市「G2E(Global Gaming Expo) Asia」でブース展開する地元マカオのスロット機製造メーカーLTゲーム社(資料)―本紙撮影

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