マカオ、人口約8%相当の約5.6万人が新型コロナワクチン接種予約…うち約2.4万人が一度目の接種終える

 マカオでは、2月9日から高リスク群を対象とした新型コロナワクチンの接種がスタートした。

 その後、同月22日から接種対象が全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)へ、さらに3月9日からはマカオで就労する海外労働者やマカオの学校に通う非居民の学生らへも拡大されている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターの発表によれば、3月10日午後4時までに接種予約を済ませた人は5万5552人おり、このうちすでに一度目の接種を受けた人は2万4040人とのこと。マカオの人口は約69万人で、予約を済ませた人の割合は約8.0%となる。

 現在、マカオで使われているワクチンは中国医薬集団(シノファーム)製の不活化ワクチン(中国製)と中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン(欧州製)の2種。接種希望者は2つのワクチンの中から自由に選択することができる。ただし、中国医薬集団製の接種対象年齢は18〜59歳で、60歳以上が接種を受ける場合はリスク暴露レベルが高く、かつ健康状態が良好という条件が付くが、ビオンテック製のmRNAワクチンは16歳以上で上限設定がないことから、60歳以上については基本的に中国医薬集団製の接種予約を受け付けない方針としている。

 このほか、今年第3四半期をめどに英国アストラゼネカ製のアデノウイルスベクターワクチン(生産地:米国)も到着予定となっている。マカオ政府が確保した3種のワクチンの合計は150万本。いずれも2回の接種(約1ヶ月間隔)が必要なものだが、人口の2倍に相当するため、充足しているといえる。すでにマカオには2種合計で60万回分のワクチンが到着済み。単純計算で人口の44%が2回接種を受けられる量だ。目下、1日あたりの接種予約受付枠は最大5000人分。

 気になるワクチン接種後の副反応だが、10日午後4時までに34件報告されており、いずれもめまいや微熱など軽微なものとのこと。ただし、10日夜にマカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターから重大事案が1件発生したことが発表された。3月5日に医療機関で健康評価を経てビオンテック製のmRNAワクチンを接種した67歳の男性が3月9日に左胸痛が出現し、休息後に一旦は緩解したが、10日に再発し、症状が悪化したことから、救急搬送されたとのこと。心電図で虚血性心疾患が確認され、急性冠症候群の疑いと臨床診断されており、入院治療を受けているというが、容体は安定しているという。同センターでは、今回の事案について、専門家チームによる副反応リスク評価ワーキンググループで接種との因果関係などの分析を行うとし、11日も会議が招集される予定。

 なお、ワクチン接種は希望者のみを対象としている。費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3300円)となる。政府はポルトガル系のフィデリダーデ・マカオ社と不良副反応・副作用に関する保険契約も締結済みで、保障期間は接種後90日間、補償額は1人あたり最大100万マカオパタカ(約1330万円)とのこと。

 ここまでのマカオにおける新型コロナの感染確認数は累計48人。内訳は域外からの輸入性が46人、輸入関連性事案が2人。市中感染例は3月10日まで346日連続ゼロを維持しており、封じ込めに成功している状況。院内感染、死亡例についてもゼロ。

【追記】
 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは3月11日夕方、先に確認された副反応の重大事案1件について、専門家チームによる分析を経てワクチン接種とは無関係だったと発表。患者の既往症や、喫煙歴などを理由として挙げた。

ビオンテック製のmRNAワクチンの接種を受けるマカオ居民=2021年3月3日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

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