マカオ、カジノ法改正に関するパブリックコメント実施

 世界一のカジノ売上を誇る都市、マカオ。現在、コンセッション(カジノ経営権契約)を結ぶ6陣営がおよそ40のカジノ施設を運営している。6陣営の契約満期日は2022年6月26日となっており、期限が迫りつつある。

 現行のカジノ経営権契約が満期を迎えるにあたり、マカオ政府は既存契約の延長ではなく再入札を実施するという方針を一貫して示しており、再入札実施に向けた法整備などの準備を進めていることを明らかにしていた。

 マカオ政府は9月14日午後、娯楽場幸運博彩経営法律制度(カジノゲーミング経営法)改正に関するパブリックコメント(意見公募手続き)実施に関する記者会見を政府本部ビルにて開催。政府を代表して李偉農(レイ・ワイノン)経済財政長官らが出席し、概要説明及び質疑応答を行った。

 カジノゲーミング経営法は、現行カジノ経営権のスタート時期にあたる2001年に制定されたもの。すでに20年が経過し、マカオのカジノ業界はもとより、経済・社会状況も大きく変化したことを踏まえ、政府は今回のパブリックコメント実施にあたり、9つの重点ポイントを挙げている。

 具体的には、1)カジノ経営権の発給数、2)経営権付与期間、3)契約事業者監督のための法的要件強化、4)従業員保護、5)契約事業者、カジノ仲介及びパートナーに対する審査メカニズムの強化、6)政府代表の派遣、7)ノンゲーミング要素を含むプロジェクトの推進、8)社会的責任、9)刑事責任及び行政処分制度の明確化。

マカオ政府が開催したカジノ法改正に関するパブリックコメント実施についての記者会見=2021年9月14日(写真:DICJ)

 なお、各界から最も大きな関心事とされたカジノ経営権の発給数、経営権付与期間、再入札実施スケジュール等について、具体的な数値への言及はなかった。これについて、李長官は質疑応答の中で、カジノ経営権発給数は、今回のパブリックコメントの中の重点のひとつであるとした上、(21世紀初頭の)カジノ経営権の開放後、カジノ税収による社会発展、経済成長、民生福利への一定規模の効果はあったが、無限の膨張は不可能であり、適切な上限について考慮すべきであるとした。また、今後もマカオカジノ業界が十分な競争力を持ち、持続益な税収をマカオにもたらすためには、適切な規模を維持することが重要との考えも示した。

 パブリックコメントの実施期間は9月15日から10月29日までの45日間。期間中に、5回(うち1回はカジノ業界向け)の公聴会も開かれる。政府はパブリックコメント及び公聴会を終えた後、速やかに総括報告をまとめるとしているが、具体的なスケジュールについては明らかにしていない。

マカオのカジノゲーミング経営法改正に関するパブリックコメント資料(写真:DICJ)

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