マカオ、ポンテ16カジノがクローズへ…SJMが直営化断念、ルアークホテルは計画通り買収契約締結

 2023年1月1日に施行されたマカオの改正娯楽場幸運博彩経営法律制度(通称「新カジノ法」)の規定により、マカオにおけるカジノ施設はマカオ政府とカジノ経営コンセッションを結ぶ事業者の所有する物件内に設置することが必須となり、3年間(2025年12月31日まで)の過渡期が設けられた。

 この影響を受けるのが、コンセッション事業者の所有ではない物件内(主にマカオ半島新口岸地区の中小規模のホテル内)にあり、フランチャイズのような契約形態で運営される「衛星カジノ」と呼ばれるカジノ施設群だ。2022年にかけて法改正手続きが進む中、もともと約20軒あった衛星カジノのうち一部が新法施行前にクローズし、また過渡期の満了が近づく中で早じまいする施設も相次いでいる状況。

 衛星カジノをめぐっては、SJMリゾーツ社の「グランドビューカジノ」が今年7月30日、メルコリゾーツ(マカオ)社の「グランドドラゴンカジノ」が9月22日、SJMリゾーツ社の「グランドエンペラーカジノ」が10月30日、ギャラクシーカジノ社の「ワルドカジノ」が10月31日をもってそれぞれクローズ済み。目下、マカオで営業を継続中の衛星カジノ施設の数は7軒となった。このうち2軒(「ポンテ16カジノ」と「ルアークカジノ」)については、所属コンセッション事業者であるSJMリゾーツ社が直営方式に転換することで継続意向を示していたが、11月20日に同社及び同社グループ企業から本件に関するアップデートがなされた。

 SJMリゾーツ社は11月20日夕方、今年6月初旬に明らかにしていたポンテ16カジノの買収(不動産取得)による直営化計画について、事業発展戦略を全面的かつ慎重に評価した結果、断念することを決定したと発表。同社グループの長期的な事業展開、商業的考慮、全体的なリソース配分の優先順位を深く検討した上での決定であり、同社の慎重かつ現実的な資本計画、並びに中核事業への集中と市場動向に沿った長期的な発展を実現する戦略方針を体現するものと説明した。

 これを受け、同社とポンテ16エンターテインメントグループ社との間でサービス終了契約を締結し、同月28日午後11時59分をもってポンテ16カジノを営業停止(クローズ)することに決まったという。なお、同カジノ施設のゲーミング(カジノ)テーブルとマシンについて、それぞれグループの他のカジノ施設に再配置する予定とのこと。

「ポンテ16」外観イメージ(資料)=2025年2月、マカオ半島・内港エリアにて本紙撮影

 なお、同社グループのSJMホールディングス社は20日夕方、グループ傘下の2つの子会社(SJMインベストメント社及びSJMリゾーツ社)がルアークホテルを含むルアークディベロップメント社の買収契約を締結したと発表。

 マカオ政府でカジノ監理を管轄する博彩監察協調局(DICJ)も同タイミングで本件に関する発表を行い、ポンテ16カジノが正式に営業を停止する際、現場に職員を派遣し、SHMリゾーツ社が事前に提出した計画に基づき、適切に営業を終了させるとともに、キャッシャー内の現金とゲーミングチップ、未換金のキャッシュバウチャーなどが秩序正しく規範的に処理されるよう、クロージング手続き全体を実地監視するとともに、同施設の従業員1025名についても、労工事務局と緊密に連携し、適切に処遇するよう運営側に要求したことを明らかにした。

 また、SJMリゾーツがルアークカジノの直営化を申請する意向を示していることについて、ゲーミング法の関連規定に基づき、審査及び承認手続きを進めるとした。

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