香港、新型コロナ新規陽性者は9人…うち市中は3人=1/14、ソーシャルディスタンス及び水際措置延長へ

 人口約740万人の香港では、2020年11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いていたが、2021年5月にかけて状況が落ち着き、同月末までに終息した。

 6月以降も外遊歴のない人(多くが空港業務従事者)の散発的な感染確認があったものの、長く市中における連鎖的な伝播は出現していなかったが、大晦日に検疫規則違反のキャセイパシフィック航空の男性クルーをきっかけとしたレストラン「望月樓」店内での伝播が出現したことが判明し、83日にわたって続いた市中感染確認例ゼロ記録がストップ。年初には別のキャセイ航空クルーを発端とした感染連鎖伝播チェーン(いずれもオミクロン変異株)も見つかり、連日新たな陽性者が相次いでおり、すでに流行第5波が始まったものとみられる。

 香港衛生当局の発表によれば、1月14日午前0時時点集計の単日の新規陽性者は9人で、内訳は輸入関連性を含む市中が3人、輸入性(海外からの入境者)が6人。単日の新規陽性者が1桁となるのは昨年12月28日以来のこと。

 輸入関連性を含む市中の陽性者3人のうち2人は既知の伝播チェーン上にあるもの。別の1人は交通事故による入院をきっかけに受検した検査で陽性となったパキスタン籍の男性。香港入りする前にアフリカに滞在していた履歴があるといい、これまでのところ再陽性なのか香港での市中感染なのか判別できていないとのこと。

 初歩陽性者は10人以下。市中のケースでは、検疫センターの保安スタッフの女性1人が含まれる。この女性の同僚が先に陽性(感染源はキャセイ航空女性CA)となっており、同じ業務を担当し、また休憩室で昼食を共にしていたという。

 なお、前日初歩陽性とされた屯門地区のクリニック(別の陽性者が受診していた施設)の女性看護師1人について、同クリニック内の新型コロナワクチン接種による汚染によるものと判断されたほか、同じく屯門地区で陽性者が出現したマンションの住民を対象とした検査で不確定事案とされた1人についても、再検査で陰性が確定したことも明らかにされた。近日、屯門地区で陽性者の確認が相次いでおり、隠れた伝播チェーンが存在する可能性もあるとして当局が重点的に検査を実施している。

 目下、香港では市中で出現した陽性者及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)あるいは強制ウイルス検査の対象となっており、域内におけるソーシャルディスタンス措置、水際措置の引き締めも進む状況。近日では、水際措置の強化を受けて輸入性事案が大幅減となっており、輸入性を含む市中事案は連日出現するものの1桁台を維持し、感染経路も追跡できている。また、香港政府は14日、未だ流行封じ込めに至っていない現状及び爆発的感染拡大リスクを抑えるため、1月20日まで実施予定としていたソーシャルディスタンス措置を春節明けの2月3日まで、水際措置を2月4日までそれぞれ延長するとともに、春節シーズン恒例の花市、新春市場などの大型イベントについても中止することを発表。

 このほか、香港の1月13日午後8時時点のワクチン接種率は75.5%(1回目の接種完了)、70.0%(2回目の接種完了)となっている。累計接種回数は1040万6098回、1日あたり接種回数は4万3129回(7日移動平均値4万0313回)。香港ではワクチンが充足している状況で、政府は昨年9月末までに免疫の壁を構築するのに必要とする目標の接種率7割(1回目接種完了)を突破できるとする見通し示していたが、9月以降は接種回数の低迷が顕著で、11月23日にようやく達成された。11月11日から3回目の接種(ブースター接種)がスタートし、上述の接種回数には3回目も含んだものとなっている。3回目の累計接種回数は60万6193回。市中感染確認例が相次ぎ出現したことで、年初から再び接種回数が上向きに転じている。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

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