香港、新型コロナ新規感染確認数2万5150人…4日連続減、流行第5波累計は約48.4万人に=3/7

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。2月に入って以降、市中における新規感染確認数が急増し、医療システムのキャパシティが限界に達するなど、状況が深刻化。近日、市中における伝播はオミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)が主とされている。

 香港衛生当局の発表によれば、3月7日午前0時時点集計の単日の新規感染確認は前日から5858人減(18.9%減)の2万5150人だったとのこと。4日連続で減少となった。内訳は市中が2万5118人、輸入性(海外からの入境者)が32人。第5波開始以来の市中感染確認数の累計は約48.4万人に。

 現在、感染確認数はPCR検査を経て陽性となったケースのみがカウントされており、スピード抗原検査キットを使って陽性が判明した人は含まれない。当局では、直近1週間の感染確認数は3〜5万人水準で、以前のような3〜5日間隔で倍増する状況は見受けられないが、その要因については現時点で評価が難しいとの見方を示した。また、近頃ではPCR検査に代えてスピード検査を受ける人が多くなっていることなども踏まえ、同日午後6時から稼働するスピード検査の結果が陽性だった場合にオンラインで報告を行うプラットフォーム(結果判明当日または翌日に登録することが求められる)のデータを参照する必要があるとした。

 公立病院における7日未明時点の直近24時間の感染者の死亡者数は161人(29〜102歳、ワクチン未接種126人)で、これとは別に2月25日から3月5日分の遅れて報告された死亡者が119人いるとのこと。

 第5波下、高齢者介護施設及び障がい者施設に関連する感染例が多く確認されている。これまでに感染例が出現した高齢者介護施設は施設総数の84.8%にあたる673軒、感染した利用者の数は約1万4000人、スタッフは約4000人。障がい者施設については65.7%にあたる220軒、利用者の数は4350人、スタッフは1600人に上っているという。

 2月以降の感染急拡大を受け、検査体制の逼迫、公立病院の隔離病床の不足が深刻化している状況で、感染確認または陽性となった人が自宅での待機を余儀なくされているケースも多い。目下、政府がホテルの借り上げや公営住宅の転用、中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設を進めているほか、各種防疫措置の強化、全市民を対象とした強制PCR検査の実施なども発表済み。

 香港の3月6日午後8時時点のワクチン接種率は90.2%(1回目の接種完了)、78.1%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。3〜11歳の1回目接種率は44.3%。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。6日単日の接種回数は6万2122回で、高位を維持。

 香港で新型コロナワクチン接種プログラムがスタートしたのは昨年2月26日のこと。接種率50%を達成したのは8月5日で、以降は70%が11月23日、80%が今年2月6日、90%が3月5日。ただし、新たに接種対象となった3〜11歳のほか、70〜79歳が78.8%、80歳以上が51.9%と大きく平均を下回る。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  アジア有数の観光デスティネーションのマカオでは、年間最大の書き入れ時のひとつとなる五・一(労働節…
  2.  澳門海關(マカオ税関)は5月3日、前夜マカオ半島北部・台山エリアにある工業ビル、新城巿工業大廈内…
  3.  世界保健機関(WHO)は毎年5月5日を「世界手指衛生の日」と、グローバルな啓発活動を展開。マカオ…
  4.  アジア有数の観光デスティネーションのマカオでは、年間最大の書き入れ時のひとつとなる五・一(労働節…
  5.  マカオ政府地球物理気象局(SMG)は5月3日、今年(2024年)4月の天気レビューを発表。 …

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  3.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  5.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun