中国本土依存高いマカオ、人民元切り下げの影響不可避=産業多角化と旅客多源化急務

近日相次いで実施された中国人民元の切り下げが、中国の特別行政区にあたるマカオ経済にネガティブ影響を及ぼすことが懸念されている。

マカオはカジノを中心としたツーリズム産業が経済の大黒柱だ。カジノ税収が実に歳入の約8割を占める。また、人口約64万人に対し、年間約3150万人の旅客が域外から訪れる。マカオを訪れる旅客の約65%を中国本土からの旅客が占める。中国本土市場への依存が極めて高いといえる。

マカオ政府金融管理局は8月13日、近日の人民元切り下げによるマカオへの影響を中止するという内容のプレスリリースを発表した。

この中で、中国本土旅客に対するマカオの吸引力が弱まる可能性があるとし、ツーリズム及びリテール業に短期的なマイナス影響が及ぶと指摘した。

政府が抱える財政準備資産については、人民元資産の占める割合は昨年(2014年)12月末時点では48.6%だったが、今年6月末には33.0%に低下していることを明かした。当初、通年(1〜12月)の投資収益率は4.0%を見込んでいたというが、今回の切り下げによって1〜8月の累計でこれを下回ることになるとのこと。しかし、通年では当初見込み通りの結果を得られるとしている。

昨今、マカオのカジノ売上は昨年6月から今年7月まで14ヶ月連続で前年割れとなるなど、低迷が長期化している。訪マカオ旅客数についてもスローダウンが見受けられる。

マカオにとって、産業の多角化及び旅客ソースの拡大が急務であることが、あらためて浮き彫りとなった。

中国本土との陸路の玄関口となるマカオ半島北部の關閘イミグレーション到着ゲート(資料)=2015年2月(写真:GCS)

中国本土との陸路の玄関口となるマカオ半島北部の關閘イミグレーション到着ゲート(資料)=2015年2月(写真:GCS)

関連記事

最近の記事

  1.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営する澳門輕…
  2.  マカオ司法警察局は6月30日、客との共謀による不正行為でカジノ運営企業からゲーミング(カジノ)チ…
  3.  マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は7月1日、今年(2025年)6月の月次カジノ売上(粗収益、…
  4.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は6月30日、今年(2025年)3〜5月期の雇用統計を公表…
  5.  中国では、東京電力福島第一原子力発電所からの「ALPS処理水」の海洋放出をきっかけに、2023年…

ピックアップ記事

  1.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  2.  今年(2025年)に入って以降、マカオ政府が新交通システム「マカオLRT」の新路線計画を相次いで…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月29日、国際旅客誘致策の一環として昨年(2024年)実施した香…
  4.  マカオ政府は6月9日午後5時からマカオ政府本部ビルで特別会見を行い、SJMリゾーツ社、メルコリゾ…
  5.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…

イベントカレンダー

7月 2025
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31    
« 6月   8月 »
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年7月号
(vol.145)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun