マカオカジノ大手MCE、テクニカル・デフォルト回避

マカオ・コタイ地区に今年(2015年)10月27日、およそ32億米ドル(日本円換算:約3900億円)という巨費を投じた大型IR(統合型リゾート)プロジェクト「スタジオ・シティ」が開幕した。

スタジオ・シティはハリウッド映画をテーマとした大型IRで、カジノ、ホテル、ショッピングモール、多目的アリーナのほか、世界初の8の字型観覧車「ゴールデン・リール」、バットマンをテーマにしたアトラクション「バットマン・ダーク・フライト」、世界的イリュージョニストとして知られるフランツ・ハラレー氏プロデュースの常設型マジックアトラクション「ザ・ハウス・オブ・マジック」など、これまでマカオに不足していたファミリー向けレジャー・エンターテイメント要素を多数盛り込んでいるのが特徴だ。

しかし、IRの核となるカジノ施設のゲーミング(カジノ)テーブル設置台数は250台(開幕時200台、2016年1月に50台追加)となっており、当初目標の400台を大きく下回っている状況だ。マカオでは、カジノフロアに配置するゲーミングテーブル数がカジノ監理当局によるコントロール下にあり、必ずしも運営会社の希望通りに割り当てを受けることができるわけではない。

地元紙の報道などを総合すると、スタジオ・シティの運営会社の親会社にあたるメルコ・クラウン・エンターテイメント(以下、MCE)が同IRの建設資金として借り入れを行った際、来秋までにゲーミングテーブル400台の稼働という条件が含まれていたとのこと。実際の割り当て数が条件を下回ったことを受け、テクニカル・デフォルト(誓約条件に反するデフォルト)に直面したことから、債権者との再交渉を迫られていたという。

MCEは11月18日、スタジオ・シティの建設費として借り入れ(ターム・ローン方式及びリボルビング・クレジット・ファシリティ方式)を行った14億米ドル(約1700億円)の契約内容について、ゲーミンテーブル割り当て数を400台から現状に合わせた250台に変更することで債権者と合意に至ったことを明らかにした。

マカオカジノ監理当局の最新データによると、今年第3四半期末(9月末)時点のマカオのゲーミングテーブル数は5819台。マカオ政府は2013年から10年間、毎年平均のカジノテーブル台数の増加率を3%以内とし、認可にあたってノンゲーミング(非カジノ要素)に対する投資規模を審査基準とする原則を打ち出している。

マカオ・コタイ地区の大型IR、スタジオ・シティのカジノフロア(資料)=2015年8月—本紙撮影

マカオ・コタイ地区の大型IR、スタジオ・シティのカジノフロア(資料)=2015年8月—本紙撮影

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