マカオ、政府と民間連携のギャンブル依存対策が効果示す…レスポンシブルゲーミングに対する認知拡大

マカオは中国の特別行政区にあたり、人口約65万人、面積は東京の山手線の内側の半分に相当する30平方キロという小さな地域だが、およそ40軒ものカジノ施設が建ち並び、年間カジノ売上は世界最大規模を誇る。また、競馬やスポーツベッティングといった各種ギャンブルも存在する。

マカオでは、政府社会工作局(IAS)が中心となり、教育・福祉機関と連携するなどして地域コミュニティにおけるギャンブル依存の予防と治療対策に取り組んでいる。

IASは3月15日、同局が立ち上げ、複数の民間社会福祉機関が参加する「ギャンブル依存中央登録システム」に関する2018年版レポートの内容を公表した。

システムが立ち上がった2011年から2018年までに登録されたギャンブル依存者の数は1146人(参加機関に連絡してサポートを求めた人数)。2018年の新規登録者は133人で、このうち40〜49歳の既婚男性が最も多く、大部分がミドルスクール(日本の中学・高校に相当)学歴で、ゲーミング業(カジノなどギャンブル業)従事者が17.2%を占めたとのこと。

重度の依存者の比率は、2011年には85%だったが、2018年には35%となっており、低下傾向が見受けられる。昨今、重度の依存に陥る前に福祉機関へサポートを求める連絡をしてきているといい、マカオ市民の間でギャンブル依存に対する認知度が向上していることを反映しているとした。

IASでは、これまでに民間と連携し、各種ギャンブル依存の予防と治療、レスポンシブルゲーミング(政府及びギャンブル運営事業者等によるギャンブル依存対策をはじめとする社会コストへの対応)を推進してきた。プライマリースクール(小学校)、ミドルスクールにおける「スマートマネープロモーションプログラム」教育課程の立ち上げ、ギャンブル依存専門カウンセラー育成トレーニング、レスポンシブルゲーミング情報プラットフォームの研究開発等が含まれる。

2012年からマカオ各地及びギャンブル施設内にレスポンシブルゲーミング情報端末の設置を進め、市民及び観光客に対する啓蒙及び依存に陥った場合のサポート情報の発信をスタート。端末の数は2012年の6台から、2018年には42台にまで増え、カジノにおける設置率は74%に達したという。2019年も増設を進めるとした。このほか、潜在的な依存者が相談しやすくなるよう、2014年に24時間対応の電話とオンラインによるサポートサービスを立ち上げ、2018年までに電話とオンライン合計で延べ1.1万人(毎年平均延べ2500人)から連絡を受け、2018年は前年比で28%増だったとのこと。

政府が定期実施している「マカオ市民ギャンブル活動参加調査」によれば、マカオ市民のギャンブル参加率は2007年の59.2%から2016年には51.5%に下落。ギャンブル依存深刻度も6%から2.5%に下落した。また、マカオ市民のレスポンシブルゲーミング認知度は2009年の16.2%から2017年には63.7%に大きく上昇。IASでは、政府の持続的かつ多元的なギャンブル依存に対する効果が数字に表れているとした。

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

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