マカオ政府が新型コロナ経済支援で市民に支給の電子商品券、第2期分2ヶ月間の消費額は約266億円

 マカオは人口約69万人、面積約32平方キロという小さな街だが、インバウンド旅客数は年間3940万人超(2019年実績)に上り、アジア有数の国際観光地として知られる。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、1月後半から入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられ、インバウンド旅客が激減。インバウンド依存度が極めて高いマカオ経済は甚大な打撃を受けている。

 マカオ政府は防疫策と同時に、幅広い層が恩恵を受けるかたちでの民生・経済支援策も打ち出している。このうち、域内での消費を盛り上げ、雇用維持を図るための経済支援策として非接触型ICカードタイプの「電子商品券(Eバウチャー)」が初めて発行された。

 電子商品券の支給対象はすべてのマカオ居民IDカード(日本のマイナンバーカードに近い身分証)保有者で、年齢や所得といった制限は一切ない。

 カードにチャージするかたちで支給される金額は第1期(2020年5〜7月分)が3000マカオパタカ(日本円換算:約4.0万円)、第2期(同8〜12月分)が5000マカオパタカ(約6.6万円)で、マカオで広く普及するICカード「マカオパス」の端末が設置された地元の飲食店、小売店、生活雑貨店などで使用することができる(カジノ、公共料金、マカオ域外との交通機関など対象外あり)。

マカオ政府が新型コロナ経済支援策として初発行した電子商品券の第2期支給分をセルフチャージ機でチャージするする市民(写真:マカオ金融管理局/経済局)

 マカオ金融管理局と経済局は9月29日、電子商品券の第2期スタートからおよそ2ヶ月間(8月1日〜9月27日)の使用状況を公表。決済回数は約2252万回、決済金額は支給総額の約6割に相当する20億マカオパタカ(約266億円)に上り、幅広い業界が恩恵を受けたとした。

 消費額が最も大きかったのは飲食業で、全体の25.6%を占めた。小売業ではスーパーマーケットでの消費額が最も大きく、20.1%だったとのこと。

 第2期の支給分は政府機関や銀行支店などに設置されたセルフチャージ機を使って追加チャージする必要があるが、すでに第1期で配布したカード総枚数の99%にあたる62.4万枚の追加チャージが完了済みで、第1期に未受領だった中から2.9万枚が受領されたという。

 なお、第1期では約18億マカオパタカ(約239億円)が市場に注入されており、第2期の9月27日分と合わせた累計は約38億マカオパタカ(約506億円)となる。
 
  電子商品券のほか、マカオ居民向けの経済支援策では、毎年恒例実施している1人あたり1万マカオパタカ(約13.3万円)の現金配布を当初予定の7〜9月から4〜6月に前倒し実施、家庭用公共料金(電気・水道)3ヶ月間(3〜5月)全額補助、所得税減税などがある。民生支援については、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるようマスク有償配給制度を立ち上げ、現在まで継続実施中。さらに、中小企業や個人事業主を対象とした各種支援策も用意している。マカオにはカジノ税収という特殊な財源が存在し、近年の財政収支は大幅黒字。これまでに余剰金を積み上げ、歳入のおよそ5.8年分にも達する潤沢な財政準備を抱えており、政府は財政準備の一部を活用して新型コロナ防疫及び経済支援対策に臨む方針を示している。

マカオ政府が新型コロナ経済対策で市民に配布する電子商品券の券面イメージ(マカオ政府経済財政長官事務所)

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