マカオ、2020年通期の総体失業率2.5%…コロナ禍で過去最良の前年から0.8pt上昇、月給中位数は1割超の減

 マカオ政府統計調査局は1月29日、昨年(2020年)10〜12月期の雇用統計を公表。総体失業率は2.7%、マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)に限ると3.8%で、いずれも前回調査(9〜11月期)から0.2ポイント(pt)低下(良化)した。不完全雇用率は0.4pt低下の5.4%。

 昨年10〜12月期の労働人口は39.97万人、労働参加率は70.4%。就業人口は前回調査から2600人増の38.88万人。マカオ居民に限ると3200人増の28.15万人。

 失業人口は前回調査時から600人減の1.10万人。求職中の失業者のうち直前までカジノ・カジノ仲介業、建設業に従事していた人の数が多かった。このほか、初めて職探しをする新増労働力の占める割合は3.0pt下落の11.6%。

 不完全就業者数は1200人減の2.02万人。業界別ではカジノ・カジノ仲介業と運輸・倉庫業従事者の占める割合が大きかった。

 就業調査の統計対象はマカオ半島、タイパ・コロアン島にある住宅の居住者(学生寮や高齢者入所施設等のグループホームを除く)で、域外からマカオへ越境通勤するマカオ居民及び海外労働者は含まれない。出入境資料を元に越境通勤者数は約8.33万人と推計され、これを含むマカオの総労働力は前回調査から2700人増の48.30万人。

 昨年第3四半期(2020年7〜9月)との比較では、総体失業率が0.2pt低下、マカオ居民に限った失業率は0.3pt低下。就業人数は3000人減、マカオ居民に限ると4000人増。業界別の就業人数動向については、ホテル・飲食業が4100人減の5.48万人、卸売・小売業が2600人増の4.55万人。就業人口の月給中位数は横ばいの1万5000マカオパタカ(日本円換算:約19.7万円)、マカオ居民に限ると3.8%増の1万9000マカオパタカ(約24.9万円)。

マカオ歴史市街地区にあるモンテの砦から望む町並み(資料)=2020年4月本紙撮影

 マカオでは今年1月下旬から新型コロナウイルス感染症防疫対策の一環として入境制限が講じられたことを受け、インバウンド旅客数が激減。インバウンド依存度の高い国際観光都市マカオの経済は大きなダメージを受けている。ただし、マカオと中国本土における新型コロナ流行状況は早い段階で落ち着いており、昨年第3四半期にかけて両地の間の往来制限緩和が進み、中国本土からのインバウンド旅客が戻りつつある状況。第3四半期、第4四半期の雇用統計の数字では、マカオ居民関連の数字に改善傾向が伺える。マカオで雇用の調整弁となっているのは海外労働者で、マカオ政府労工局はマカオ居民の雇用の継続と優先就業を確保するため海外労働者数の調整を行っていることを明らかにしている。

 昨年通期の総体失業率は過去最良だった前年から0.8pt上昇の2.5%、マカオ居民に限ると1.3pt上昇の3.6%。就業人口の月給中位数は11.8%減の1万5000マカオパタカ(約19.7万円)、マカオ居民に限ると横ばいの2万マカオパタカ(約26.2万円)。世帯就業指標については、昨年の1世帯あたり平均就業者数は前年から0.1人減の1.6人、1世帯あたりの月給中位数は8.3%減の2万7500マカオパタカ(約36.1万円)。

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