香港の新型コロナ新規感染者数294人、3日連続増…火鍋店に続きビリヤード場でもクラスター発生か=5/12

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少傾向を維持している。

 香港衛生当局が5月12日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から14人増の294人(輸入性40人含む)とのこと。内訳はPCR検査経由が115人、迅速抗原検査経由が179人。3日連続で上昇となったが、19日連続500人以下を維持した。第5波開始以来の累計感染者数は119万5034人。

 新規の死亡報告数は4人で、第5波開始以来の累計死亡者数は9143人に。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現。オミクロン変異株の亜種(BA.4など)も相次ぎ見つかっている。ほかにも、流行状況の安定を受けて、4月中旬から学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の第一段階緩和と第二段階の一部先行緩和が実施されているが、新規感染者数の目立ったリバウンドは出現していない。

 学校については、毎朝迅速PCR検査を実施し、陰性の場合のみ登校することができる。12日の学校からの陽性報告数は13の学校から14人で、内訳は学生13人、教職員1人。

 近日は新界・元朗地区にある火鍋店でクラスターが出現。これに絡む感染者数は20人規模に達している。12日には新たに九龍・ホンハム地区にあるビリヤード場を訪れた4人が感染するクラスター疑いの事案も報告され、同じ時間帯に居合わせた150人超が強制検査の対象とされた。

 このほか、政府は域内各所で下水の検査を実施しており、香港島・西環地区にある団地「西環邨」で高いウイルス量が検測され、この団地の一棟ですでに5人の感染者が出現したことから、団地全体を局地ロックダウンするかたちで強制検査を実施している。

 5月11日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は91.5%(1回目の接種完了)、85.5%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。11日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は2万4156回で、7日移動平均は2万8894回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(71.7%)、70〜79歳(80.1%)、80歳以上(65.37%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

高齢者介護施設における訪問接種の様子を視察する香港公務員事務局の聶徳権(パトリック・ニップ)局長(後列右2)=2022年5月11日(写真:news.gov.hk)

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