アジアのゲーミング機器の38%がマカオに集中

「ゲーミングとツーリズム・レジャー研究」誌に掲載された論文によると、2012年末に世界135の国と地域で稼働しているゲーミングマシンは750万台あり、その62%がアジアにあるという。アジアでは日本のパチンコ機器が大半を占め、実に458万台に上る。日本のパチンコ機器を除いたゲーミングマシンの分布では欧州とマカオが最大で、マカオに38%が集中するという。
12月28日付地元有力紙「澳門日報」が報じた。前述の「ゲーミングとツーリズム・レジャー研究」誌はアジア太平洋ゲーミング研究学会と澳門青年報有限公司が主宰し、12月27日に創刊された専門誌。

暨南大学(中国・広州)の左小徳教授の発表した論文「世界のゲーミングマシン産業の現状と趨勢」によると、マカオのゲーミングマシンによる売り上げは台数の増とともに上昇。2012年は132.4億パタカとなり、2002年の57倍、毎年平均複合増長率は56%にも達する。また、マカオでは今後4年間の間で、22,800台のゲーミングマシンの需要があるという。

同論文におけるゲーミングマシンの定義はパチンコ機器、カジノゲーミングマシン、ビデオ端末。日本のパチンコ機器が大半を占め、2012年には458万台にたっしているという。日本のパチンコ機器を除くと、アジアでは15の国と地域で合法ゲーミング機器施設があり、カジノゲーミングマシンも増加傾向にあるという。2004年にわずか1.7万台だったものが、2012年には3.8万台となり、年平均複合増加率は18.6%。アジアのゲーミングマシン市場を牽引するのはマカオで、2004年に2,254台だったものが、2012年には1.65万台に増えており、年平均複合増加率は43%にも達する。

アジアのゲーミング機器の分布を俯瞰すると、マカオの比率が最大で、2012年の統計で38%、次いでフィリピンの21.6%、シンガポールの18.1%の順。ゲーミングマシンの増加は新カジノ開業の動きと比例しており、今後アジア各国、地域で新カジノ建設計画があることから、さらにマーケットが拡大する可能性があるとしている。

現在、マカオではライブ方式のバカラや大小などの電子ゲーミングテーブルが流行している。ROTHキャピタルは当該分野の商品について今後も普及が拡大する余地が大きいとの予測している。マカオのゲーミング市場では今後マスゲーミングが主戦場となり、安定した収入を求めるカジノ運営企業からの電子ゲーミングテーブルの引き合いが増加するというのが理由。また、マカオでは慢性的な労働力不足であることから、人手を節約できるゲーミング機器への需要も高いことを挙げる。

現在、マカオで稼働している電子ゲーミングテーブルは4,764台あり、主に3社が供給している。中でも、同時に20以上のテーブルのゲームをライブ中継しする「ライブバカラテーブル」市場の拡大が著しいという。1テーブルにつき最大250名が賭けに参加できることから、大幅に人手を節約できるシステムだ。

世界のゲーミング機器メーカーはマカオを研究・開発、設計と販売拠点として活用しているが、依然として地元ブランドのメーカーは少ない。マカオのゲーミングマシンは輸入に頼っており、2012年の輸入台数は約3,700台、金額にして3.1億パタカで、1台当たり平均は8.5億パタカ。中古ゲーミングマシンの輸出は2.9億パタカで、輸出先は香港(中継地として他国・地域へ再輸出と思われる)となっている。今後4年間、マカオのゲーミング機器市場は拡大を続け、毎年5,700台の機器更新と新規需要があると見込まれる。

多人数参加型ゲーミングマシンの例(資料)―本紙撮影

多人数参加型ゲーミングマシンの例(資料)―本紙撮影

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  バレーボールの国際大会「女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)2024」が(2024年)5…
  2.  マカオにとって最大の旅客ソースとなる中国本土で5月1日から5日までが5連休(「五・一」労働節ゴー…
  3.  マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR…
  4.  澳門海關(マカオ税関)は4月28日、各イミグレーション施設で検査体制の強化を図り、違法な運搬活動…
  5.  マカオ政府統計・センサス局が4月26日に公表した資料によれば、今年(2024年)3月の総合消費者…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  4.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…

注目記事

  1.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  4.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  5.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun