今年マカオの住宅価格10%下落見通し=カジノ経済減速など要因

昨年(2014年)のマカオの住宅価格を振り返ると、最高30%上昇した時期もあったが、通年では10%程度の上昇で幕を閉じた。その理由として、下半期からカジノ経済の減速が始まったこと、より住宅価格の安い広東省珠海市との間で24時間通関が実現したことなどが挙げられる。

マカオの日刊紙「澳門日報」が1月1日付紙面で報じた。マカオ政府財政局が昨年(2014年)12月31日に発表した昨年11月の住宅売買・移転にかかる不動産印紙税統計によると、同月の契約件数は475件、実用面積1平米あたりの住宅価格は9万1731パタカ(日本円換算:約137万円)だった。契約件数は前月から12.8%の増となったが、前年同月比では40%の大幅減。価格については、前月比13.7%、前年同期比7.5%の上昇。

マカオ不動産業協会の鍾小健会長は、2014年下半期からカジノ経済が減速していることに加え、12月からマカオと珠海市の間で通関24時間化が実現したことが、マカオの住宅価格の上昇抑制につながったとみる。マカオ人投資家の間で珠海シフトが進む一方、外資によるマカオへの投資の動きはみられないとのこと。賃貸についても、より価格の安い珠海への流出がみられるという。2014年のマカオの住宅価格は最高30%上昇した時期もあったが、直近では10%近い下落となったといい、通年では10%程度の上昇にとどまる。

また、カジノ経済が調整期を脱する見通しが立たないこと、物価の安い珠海へのシフトが進むことで、今年のマカオの住宅価格は前年比5-10%、賃貸価格についても10%のそれぞれマイナスになるとの見通しだ。

今年下半期以降、コタイ地区にカジノ付き大型IR(統合型リゾート)施設の開業ラッシュがスタートすることから、カジノ売上の回復も予想されている。その影響を受け、年末までに不動産価格が復調となる可能性もあるとされる。

新興高級住宅街として知られるマカオ・タイパ島中心部の高層マンション群(資料)—本紙撮影

新興高級住宅街として知られるマカオ・タイパ島中心部の高層マンション群(資料)—本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ金融管理局は10月15日、今年(2024年)9月末のマカオ特別行政区の外貨準備高(外匯儲備…
  2.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  3.  マカオ生産性・技術移転センター(CPTTM)は10月14日、マカオ招商投資促進局と合同で同月16…
  4.  マカオ国際空港の運営会社にあたる澳門國際機場專營股份有限公司(CAM)は10月14日、世界各地か…
  5.  マカオ政府の発表によれば、マカオ行政長官の賀一誠(ホー・ヤッシン)氏が10月14日午前、政府本部…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  2.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  4.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年10月号
(vol.136)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun