マカオ、今年第1四半期の総ギャンブル売上6割減の約4000億円にとどまる…新型コロナ影響深刻

 豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノ施設ばかりが目立つが、実はマカオには競馬、サッカー及びバスケットボールを対象としたスポーツくじ、ロトといった各種合法ギャンブルも存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行でマカオのカジノ業界も大きなダメージを受けている。防疫対策の一環として2月5日から19日までの15日間にわたって全カジノ施設が休業したことに加え、年間最大の書き入れ時となる春節(旧正月)ゴールデンウィークを含む1月下旬から現在に至るまで中国本土ほか流行国・地域からの入境制限が実施されている。再開から約2ヶ月が経過したものの、インバウンド旅客は激減したままだ。

 マカオカジノ規制当局(DICJ)はカジノの再開にあたり、運営会社に対して従業員及びゲストの健康を最大限保護することなどを求めており、ゲスト及び従業員のいずれも入場時に体温検査、マスクの着用、健康申請書の提出が義務付けられる。マカオ入境前14日以内に湖北省滞在歴がある場合は入場できない。また、ゲーミング(カジノ)テーブル間の距離の確保、テーブルゲームでは隣席を空ける対応(例えばバカラテーブルでは1テーブルに同時に着席できるのは3〜4人)、スロットマシンについても1台または2台おきの稼動と定められ、交差感染リスク軽減が図られている。チップ等のゲーミング用品に対する消毒も強化実施されている。再開したといっても、あくまで限定的ものだ。

 DICJは4月16日、今年第1四半期(2020年1〜3月)の各種ギャンブル統計を公表。

 今年第1四半期の総ギャンブル売上は前年同時期から59.9%減の306.35億マカオパタカ(日本円換算:約4129億円)、このうちカジノによる売上は60.0%減の304.86億マカオパタカ(約4109億円)で、全体の99.5%を占めた。

 カジノ売上の内訳については、VIPルームによる売上を反映するVIPバカラ売上が60.2%減の148.09億マカオパタカ(約1996億円)。カジノ売上全体に占めるVIPルームの割合は0.3ポイント下落の48.6%となり、昨年第1四半期から5四半期連続で過半数を割り込んだ。一方、マスゲーミング(いわゆる平場)のバカラ売上は59.3%減の121.51億マカオパタカ(約1638億円)。マカオのカジノではバカラが圧倒的なシェアを誇り、今年第1四半期のカジノ売上全体に占めるVIPバカラとマスゲーミングバカラ売上の比率は88.4%に上る。

 今年第1四半期時点のカジノ施設数は前年同時期から横ばいの41軒で、稼働中のゲーミング(カジノ)テーブルの数は前年同時期から1091台減の5533台、同スロットマシンの数は9906台減の7216台だった。ゲーミングテーブルとスロットマシンの台数が大幅減となっている理由については、防疫対策による稼働減によるもの。

 カジノ以外の各種ギャンブルの売上については、競馬が44.0%減の0.14億マカオパタカ(約1.9億円)、中国式ロトが33.3%減の0.02億マカオパタカ(約0.3億円)、サッカーくじが30.3%減の0.92億マカオパタカ(約12.4億円)、バスケットボールくじが30.5%減の0.41億パタカ(約5.5億円)など。

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

カジノのイメージ(資料)—本紙撮影

【資料1】2020年のマカオの月次カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・1月:221.26億マカオパタカ=約2982億円(11.3%減)
・2月:31.04億マカオパタカ=約418億円(87.8%減)
・3月:52.57億マカオパタカ=約709億円(79.7%減)
>1〜3月累計:304.86億パタカ=約4109億円(60.0%減)

【資料2】2013年〜2018年のマカオの年間カジノ売上の推移(カッコ内は前年比)
・2013年:3607.49億マカオパタカ=約4兆8636億円(18.6%増)
・2014年:3515.21億マカオパタカ=約4兆7391億円(2.6%減)
・2015年:2308.40億マカオパタカ=約3兆1121億円(34.3%減)
・2016年:2232.10億マカオパタカ=約3兆0093億円(3.3%減)
・2017年:2657.43億マカオパタカ=約3兆5827億円(19.1%増)
・2018年:3028.46億マカオパタカ=約4兆0829億円(14.0%増)
・2019年:2924.55億マカオパタカ=約3兆9428億円(3.4%減)

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