マカオ、344日連続で新型コロナ市中感染例なし…累計48人、死亡例ゼロ=ワクチン接種対象を海外労働者にも拡大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。

 マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは3月8日午後5時(現地時間、以下同)から週に一度の定例記者会見を開催。同日までマカオの市中における新型コロナの感染確認は輸入性または輸入関連性事案のみで、市中における感染伝播事案は出現していない。市中感染確認例は無症状感染者を含めて344日連続ゼロだった。輸入性事案に関しては30日連続ゼロ。

 これまでの累計感染者数は48人で、46人が域外からの輸入性、2人が輸入関連性事案。院内感染、死亡例ともゼロを維持している。

 目下、指定医療機関の隔離病室に入院中の患者は1人のみ。患者は1月19日にドバイを出発し、シンガポールと東京を経由して21日にマカオへ到着したマカオ居民の女性。

マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターによる定例記者会見=2021年3月8日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

 マカオでは、2月6日に新型コロナワクチンの”初荷”として、中国医薬集団(シノファーム)の不活化ワクチン(生産地:中国・北京)の第1便(10万回分)が到着。9日から高リスク群を対象とした接種がスタートし、22日から接種対象が全マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)に拡大された。また、27日には中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン(生産地:欧州)の第一便10万回分がドイツから香港経由で、28日にはシノファーム製の第二便40万回分がそれぞれマカオへ到着済み。3月8日午後4時までの累計ワクチン接種予約者数は4.9万人で、内訳はシノファーム製が4.3万人、ビオンテック製が6191人、接種を済ませた人は2.1万人とのこと。この日の会見では、接種対象をマカオで就労する海外労働者にも拡大することが発表された。9日からシノファーム製、14日からビオンテック製のワクチン接種予約をそれぞれ受け付けるという。予約枠については、初期段階では1日あたり4000人分をマカオ居民、1000人分を海外労働者に充てるという。

 マカオ政府はシノファーム製、ビオンテック製に加え、英国アストラゼネカのアデノウイルスベクターワクチン(生産地:米国)計150万本を確保済み。シノファーム製は全量到着済み、ビオンテック製の残りとアストラゼネカ製は順次到着予定となっている。なお、ワクチン接種はあくまで希望制であり、在庫がある状況下において複数のワクチンの中から自由に選択できるとされている。接種費用はマカオ居民、マカオで就労する海外労働者、マカオの学校に通う学生は無償、その他は1回あたり250マカオパタカ(日本円換算:約3300円)となる。

 マカオ政府が確保したワクチンはいずれも2回接種が必要なものだが、マカオの総人口は約68万人のため、充足しているといえる。すでに60万本が到着しており、単純計算でそ人口の44%に相当する。

 気になるワクチン接種後の副反応だが、8日午後4時までに24件報告されており、いずれもめまいや微熱など軽微なものとのこと。ワクチン種別の内訳は、シノファーム製が21件、ビオンテック製が3件。

 マカオでは、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び中国本土における状況が落ち着いてきたことを受け、昨年7月中旬から両地間の往来制限に関して緩和が進んでいる。外国人の入境禁止措置も継続中。中国本土との往来制限緩和後も市中感染は出現しておらず、各種防疫措置が機能しているといえる。

ビオンテック製のmRNAワクチンの接種を受けるマカオ居民=2021年3月3日(写真:マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センター)

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