マカオ政府が武漢にチャーター機派遣…現地滞在マカオ居民57人が帰還、隔離施設へ

 封鎖中の湖北省に滞在するマカオ居民(マカオ居留権保有者)を帰還させるためマカオ政府が派遣したチャーター機(マカオ航空NX9607便)が3月7日現地時間(以下同)午後4時51分に武漢天河国際空港を出発し、午後6時26分にマカオ国際空港へ到着した。

 今回の第一便でマカオへ帰還した人の数は31家族57人(年齢:0歳3ヶ月〜77歳)で、空港へのアクセスが比較的容易な(移動中の感染リスクを考慮)武漢市及びその周辺に滞在し、発熱や咳の症状、医療機関訪問歴、患者との接触歴がいずれもなく、武漢空港まで自力で来ることができるという条件を満たした上、搭乗前の健康検査をクリアした人たちという。なお、搭乗前検査で中国税関当局が基準とする37.3℃を超える37.5℃の熱があった男性(16歳の学生)がおり、出境を許可されなかったとのこと。

 第一便には帰還者のほか、乗員としてマカオ航空のパイロット2人、フライトアテンダント4人、エンジニア1人、マカオ政府衛生局の医師3人、看護師3人、旅遊局の職員2人が搭乗。帰還者は衛生局スタッフの指導の下、防護服を着た状態で搭乗し、機内のトイレは使用していないという。すべての帰還者と乗員(衛生局の医師と看護師を除く)はマカオ到着後、14日間にわたって前者はコロアン島にある公共衛生臨床センターと後者は政府が隔離施設として借り上げているホテル、ポウサダ・マリナ・インファンテでそれぞれ隔離される。また、使用機材(機種:エアバスA321、機体番号:B-MCC、愛称:和光號)についても、今後7日間は運用から外されるとのこと。

武漢からマカオへ到着したチャーター機から降りる帰還者ら=2020年3月7日、マカオ国際空港(写真:GCS)

 今回のチャーター機の派遣にかかる費用はマカオ政府が負担で、帰還者は現地滞在先から武漢武漢天河国際空港までの移動にかかる交通手段の手配と費用のみ自己責任とされた。

 一部が帰還したことにより、現在も湖北省内に残るマカオ居民119人となった。政府は救援第二便以降について、現地空港へのアクセス手段など調整事項も多く、第一便での経験をベースに検証を行う必要もあることなどから、現時点で具体的なメドは立っていないとしている。

防護服を着用したチャーター機のパイロット=2020年3月7日(写真:GCS)

 マカオ政府がチャーター機を派遣して外地に滞在するマカオ居民を帰還させるのは2008年(派遣先:タイ)以来のこと。

 本稿執筆時点(3月7日午後9時20分)のマカオにおける新型コロナウイルス感染確認者数は累計10人で、内訳は武漢からの旅客が7人、マカオ人が3人。3月6日までに10人全員が治癒し退院済み。直近の新規感染確認は2月4日で、32日連続で新規感染確認ゼロが続いている。

万全の準備で任務に臨んだチャーター機の乗員ら=2020年3月7日(写真:GCS)

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は4月26日、今年第一四半期(2024年1〜3月期)の雇用…
  2.  マカオの公共路線バスで4月25日午前0時から中国本土版のアリペイ、香港版のアリペイ、マカオ以外の…
  3.  近日、マカオを含む中国華南の珠江デルタ地域では大雨が続いている。  マカオ政府海事・水務局…
  4.  マカオ貿易投資促進局(IPIM)は4月24日、マカオにおけるMICE誘致状況のアップデートを明ら…
  5.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  3.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  4.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  5.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…

注目記事

  1.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  2.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  3.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun