マカオ、新型コロナワクチンの接種スタート…首長自らが接種第1号に、政府高官らも続く

 マカオでは、2月6日に新型コロナワクチンの”初荷”として、中国医薬集団(シノファーム)の不活化ワクチン(生産地:中国・北京)の第1便(10万本)が到着。9日午前9時から接種がスタートした。

 マカオ政府は同社製に加え、中国の復星医薬が代理となるドイツ・ビオンテックのmRNAワクチン(生産地:ドイツ、フランス、ベルギーのいずれか)、英国アストラゼネカのアデノウイルスベクターワクチン(生産地:米国)計140万本を確保済みで、順次到着予定としている。

 ワクチン接種は高リスク群から優先される。具体的には第1類:防疫の最前線(医療関係者、イミグレーション職員、警察・消防・税関職員など)、第2類:高リスク職(コールドチェーン食品関係者、社会福祉機関・施設職員、学校教職員、交通・運輸従事者、ツーリズム・カジノ業従事者、政府保安部隊員、第3類:緊急を要する事由により流行国・地域へ渡航する必要がある人。第2段階が一般のマカオ居民となり、9日正午から予約を受け付け、接種開始は2月22日以降に。第3段階はマカオで就労する海外就労者と合法的に滞在する非マカオ居民も対象とするが、第1、2段階の進捗度を踏まえて時期を検討するとのこと。

 ワクチン接種初日、第1号接種者となったのはマカオ特別行政区の首長、賀一誠(ホー・ヤッシン)行政長官だ。かねてより、市民が安心するなら自身が最初に接種を受けると公言していた。行政長官に続き、政府高官らも相次ぎ接種を受け、その模様は現地の公共放送局で生中継された。

 賀氏は接種後の記者会見で、特に何事もなく、いつもと同じ感覚で、不良な反応もなかったとコメント。3月に北京で開かれる全国人民代表大会に出席するにはワクチン接種が必須条件との通知があったことを明らかにし、マカオで接種を受けることにしたとのこと。2回目の接種は2月末を予定しているという。また、市民に対しては、防疫対策をしっかり講じるよう再度呼びかけた上、新型コロナワクチンの接種はあくまで希望制で、2月末までには別のブランドのワクチンも到着予定となっており、市民は自由に選択することができると強調した。

 マカオ政府衛生局の李展潤局長によれば、8日午後9時時点で接種の予約を済ませた第1類のうち1300人に上ったとのこと。医療従事者への聞き取り調査では、およそ半数が接種を受ける意向を示したという。

マカオの新型コロナウイルスワクチン接種第1号となった賀一誠行政長官=2021年2月9日、仁伯爵綜合醫院(写真:GCS)

 マカオ政府は2月8日付の政府公報で新型コロナワクチン接種計画の内容を発表済み。無償接種の対象をマカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)、マカオの学校に通う非居民の学生、囚人とした。また、合法的にマカオに滞在する上記以外の人については有償とし、費用は1回あたり250マカオパタカ(約3300円)に設定。接種を受けることができる条件として、18歳以上かつ60歳未満、健康状態良好でリスク度合いの比較的高い60歳以上を挙げた。

 マカオ政府が購入するワクチンはいずれも2回の接種(約1ヶ月間隔)が必要なもの。マカオの人口は海外労働者も含めて約68万人で、接種にあたっての年齢条件を考慮すれば、政府が確保した量(140万本)は充足しているといえる。政府は3種のワクチンの特徴などをまとめた資料を市民向けに公開している。

 また、すでに保険会社と不良副反応・副作用に関する保険契約を締結したことも合わせて発表された。引受保険会社はポルトガル系のフィデリダーデ・マカオ社、保障期間は接種後90日間、補償額は1人あたり最大100万マカオパタカ(約1330万円)とのこと。

 ここまでのマカオにおける新型コロナの感染確認数は累計48人。内訳は域外からの輸入性が46人、輸入関連性事案が2人。市中感染例は2月9日まで317日連続ゼロを維持しており、封じ込めに成功している状況。院内感染、死亡例についてもゼロ。

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