マカオ、2020年通期のカジノ税収は73.6%減の約3954億円…新型コロナの影響甚大

 マカオ政府財政局が2月18日付で公表した最新の財政収支データによれば、昨年通期(2020年1〜12月累計)の歳入は前年同時期から29.1%減の946億9959.4万マカオパタカ(日本円換算:約1兆2560億円)で、予算執行率は96.9%だった。

 ただし、経常的収入に限ると64.9%減の459億8777.5万マカオパタカ(約6099億円)にとどまった。

 このうち、ゲーミング(カジノ)税収は73.6%減の298億0816.0万マカオパタカ(約3954億円)。年度予算執行率は100.5%で、歳入に占めるゲーミング税の割合は31.5%に。通常は歳入の約8割を占めるが、ゲーミング税収の大幅減に加え、財政準備からの補填分が資本的収入に計上(後述)されたことによって割合が小さくなった。

 歳出は11.2%増の912億9953.0万マカオパタカ(約1兆2109億円)で、年度予算執行率は93.4%。経常性費用が16.9%増、資本性費用が13.8%減だった。

 財政収支は34億0006.4万マカオパタカ(約451億円)の黒字、前年同期比では93.4%の大幅なマイナスだった。財政準備からの補填分を除外すれば実質赤字。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

 ゲーミング税はカジノ粗収益(Gross Gaming Revenue=GGR)がベースとなる(*註)。昨年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う入境制限を含む防疫措置の強化等によってインバウンド旅客数が激減し、GGRを直撃した。昨年通期のGGRは79.3%の大幅減となる604.41億マカオパタカ(約8016億円)にとどまった。ただし、このところ中国本土との往来制限の緩和が進んでおり、対前年のマイナス幅は12月まで5ヶ月連続で縮小している。

 なお、マカオ政府は新型コロナの影響を考慮し、カジノ税収の減による歳入減と防疫・経済支援策による歳出増を見込み、年度内に予算改正を三度、財政準備の超額分の一部を切り崩しての補填を二度にわたって実施している。これによって、資本収入が経常的収入を上回る487億1181.9万マカオパタカ(約6460億円)まで増加した。

(*註)マカオのカジノに対する実効税率は約38〜39%。GGRの35%に加え、マカオファウンデーションへの拠出分として1.6%、インフラ・観光・社会保障基金への拠出分が2.4%(SJM社のみ1.4%)。

関連記事

Print Friendly, PDF & Email

最近の記事

  1.  マカオ司法警察局は4月30日、中国本土の警察当局と連携し、「練功券」と呼ばれる銀行員のトレーニン…
  2.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…
  3.  マカオ政府博彩監察協調局(DICJ)は5月1日、今年(2024年)4月の月次カジノ売上(粗収益、…
  4.  マカオでは例年通り5月1日に海開きを迎えた。10月31日までがマカオの遊泳シーズンとなる。 …
  5.  マカオにとって最大の旅客ソースとなる中国本土で5月1日から5日までが5連休(「五・一」労働節ゴー…

ピックアップ記事

  1.  マカオ国際空港を本拠地とするマカオ航空(NX)が福岡便の運航を(2024年)7月12日から再開す…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  3.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  4.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
  4.  香港国際空港の制限エリア内にある「スカイピア」と港珠澳大橋マカオ側イミグレーション施設との間を港…
  5.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年5月号
(vol.131)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun