マカオ警察がベトナム人犯罪組織による密航事案を摘発…飛び地を使った遊泳方式

 マカオでは、陸で接する中国広東省における新型コロナ再流行を受けて、各種水際措置の強化が進んでいる。警察当局でも、水際措置をかいくぐってのマカオ密入境を防止するため、警戒を強化して臨んでいるとのこと。

 マカオ司法警察局は6月11日、同月10日深夜から11日未明にかけてベトナム人犯罪グループによる密出入境事案の摘発を実施したと発表。

 同局によれば、事前に情報網を通じてあるベトナム人犯罪グループが遊泳方式でマカオの密出入境をほう助していること、またグループメンバーの身元を把握したという。

 10日深夜、このグループメンバーがマカオ大学横琴キャンパスから女1人を密出境させ、翌日未明に同じ場所から別の1人を密入境させたのを確認した後、捜査員がグループメンバーのベトナム人の男2人と中国本土からの密入境者の男1人の計3人を逮捕したとのこと。

 その後の調べで、このグループは密入境者1人あたり1.4万人民元(日本円換算:約24万円)の密航費を受け取っていたことがわかったという。ベトナム人の2人は送還待ちの立場でのマカオ滞在中、密入境者は今年3月にも密入境の履歴があったとのこと。同局では、ベトナム人2人を組織犯罪、収容、密航ほう助罪で密入境者1人とともに検察院送致済みとした。目下、グループの活動期間、その他のメンバーの存在、密入境者に対する滞在場所や移動手段の手配を行っていたかなどについて調べが進められているという。

 今回の事件の舞台となったマカオ大学横琴キャンパスは2014年に開校。マカオと川を隔てて隣接する中国広東省珠海市の横琴新区に位置し、開校と同時に大学キャンパス敷地内がマカオ特別行政区の管轄範囲となり、いわば「飛び地」にあたる存在となった。キャンパスの外周はフェンスで囲まれ、出入口はマカオ・コタイ地区との間に新たに建設された河底トンネルのみとなっている。

 しかしながら、開校後まもなく、キャンパス外周のフェンスを乗り越えて中国本土側からマカオへ密入境する事案が相次いだことで、大きな社会的関心事となった。

 今回の事件では、高さ4メートルの護岸の下に密入境者が到着した後、ベトアム人の男が縄を使って引き上げていたとのこと。

マカオ司法警察局による密航事案摘発時の様子=2021年6月11日(写真:マカオ司法警察局)

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