マカオ、カジノ施設の防疫点検実施…新型コロナ市中感染例出現受け

 マカオでは、約490日にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持してきたが、8月初旬に出現して以降、感染力が強いとされる変異株(デルタ株)の連鎖的な市中感染確認が相次いでいる。

 直近では、9月24〜28日にかけてタイパ島のマカオ国際空港近くにある隔離検疫用ホテルの警備員6人、10月4〜日午前から5日午前にかけて、マカオ半島北部の高士徳地区にある内装工事現場に出入りしていた内装工4人の感染確認が相次いだ。この2つのクラスターは、両グループの各1人が路線バスに乗り合わせた際、同じ手すりを掴んだことで伝播した可能性が高いとされている。

 両グループには、潜伏期間中にカジノ施設訪問歴がある患者も含まれる。このうち、内装工グループの1人が直前まで宿泊していたマカオ半島中心部にある英皇娯楽酒店(グランドエンペラーホテル)が4日から局地ロックダウン(閉塞管理)され、併設カジノ施設を含め全館クローズに。また、両グループの各1人が訪問していたマカオ半島新口岸地区にある海立方(オセアナス)カジノは5日から一時クローズ中。マカオには約40軒のカジノ施設が存在するが、上記2施設以外については、防疫措置を講じた上で営業を継続している。

 マカオのカジノにおける防疫措置については、衛生当局発出のガイドラインでゲーミング(カジノ)テーブル間の距離の確保、テーブルゲームでは隣席を空ける対応(例えばバカラテーブルでは1テーブルに同時に着席できるのは3〜4人)、スロットマシンについても1台または2台おきの稼動などが定められ、交差感染リスク軽減が図られている。チップ等のゲーミング用品に対する消毒も強化実施されている。また、ゲストは入場時にマスクの着用、検温、有効な健康コード(衛生当局の専用サイト上で直近の滞在歴、新型コロナ患者との接触歴の有無、発熱や咳といった症状の有無、連絡先を入力して生成されるQRコード)の提示が義務付けられている。

カジノ機器の消毒作業の様子(写真:DICJ)

 マカオ政府博彩監察協調局(DICJ、カジノ監理局)は6日、防疫ガイドラインの徹底遵守を促し、従業員及びゲストの安全と健康を保障することを目的として、マカオの全カジノ施設に対する巡回を強化して臨んでいると発表。

 DICJによれば、定例巡回に加え、特別防疫巡査隊を設立して不定期巡回を行い、カジノ施設入口、ゲーミグテーブルゾーン、スロットマシンソーン、フロアの清掃・消毒状況、ゲストの健康コード、バックヤードなどを確認しているとのこと。

 このほか、がカジノ運営企業の高級管理職を招集して防疫対策会議を開き、どのように有効な防疫措置を実施するかなどについて意見交換を行ったという。

 なお、マカオの今年1〜9月累計のカジノ売上は前年同時期から75.6%増の677.87億マカオパタカ(約9439億円)となっているが、中国本土におけるリバウンド、マカオにおける市中感染例の出現によって度々中国本土との間の水際措置(往来制限)が強化されていることから、2021年度財政予算上のカジノ売上見込み1300億マカオパタカ(約1兆8103億円)の達成は厳しい状況で、政府が下方修正の可能性を示唆している。

カジノ入場ゲストに対する健康コード確認作業の様子(写真:DICJ)

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